介護
投稿日:2023/12/13
更新日:2024/10/14
わがままな入居者とうまく付き合うために施設長のすべきこと

目次

施設ではさまざま人生を歩まれてきた方が暮らしています。
高齢になると自分の好みた行動はなかなか変えられないという方が多いものです。
施設の入居者のわがままに困った経験は、皆さんあると思います。ここでは、そのわがままの対応について紹介していきます。

入居者がわがままを言うのはなぜ?

他人から見ると自分勝手な発言であったとしても、そこにはその人なりの理由があることがほとんどです。入居者がわがままを言う理由をいくつかあげてみましょう。
心の病気や認知症の始まり
高齢者は、喪失体験が増えることなどが原因で、精神的に不安定になったりうつ的傾向に陥りがちです。
また、認知症の初期には、被害的になったり、猜疑心が強くなったりすることも多く、それらが原因で感情が抑えられず、自分本位と思える発言が見られることがあります。
環境の変化によるもの
高齢者にとって、環境の変化は精神面での不安定さを増長します。
特に自宅から施設に転居することで孤独感や寂しさを感じていたり、今までの生活にはない他者との係わりや干渉が増えるため、不安や戸惑いを感じ、そのストレスのはけ口として、周囲に無理難題をぶつけてくることがあります。
もともとの性格や生きざまによる
性格的に自己主張が強いタイプ、長い人生の中で、自己中心的な生き方を貫き通してきた等、その方が持ち合わせている経験によるものもあります。
実際に介護現場でよくある入居者のわがまま事例と対策

実際の事例とその対策の事例をご紹介します。
他の入居者がらみの苦情
気の合わない入居者様に対して、直接暴言を浴びせたり、職員に対し苦情を言ってくる事例です。
入居者同士が仲良くなってほしい、と思うのは施設側の思いであることもあります。入居者は皆と仲良く共同生活をするために施設に入居されるわけではなく、障がいを持ってしまったなど、自宅で生活できなくなった方がたまたま同じ場所に住まいを移しただけという場合が多いものです。
関係づくりを強要することはこちらの都合であるため、状況を把握し、相手が何に対し腹を立てているのかを知ることからはじめます。
改善できる部分は仲裁に入ってもよいですが、困難と感じた場合には。距離をとり接触を減らす方法を考えていきます。
職員の選り好み
介護職員の好き嫌いをあからさまに表現され、場合によっては嫌な職員に対し介護拒否をされる事例です。
このタイプの事例は対象職員のモチベーション低下にもつながるため、早急に対応したいケースです。なぜそう思われているのかをまず確認し、改善できる部分があれば、対象職員に伝え改善してもらいます。
職員によってケアの内容が違っていたり、入居者の無理難題を受け入れる職員と受け入れない職員がいるなど、対応のばらつきが起因する場合もあるため、そこは施設として、対応を統一していきます。
施設の決まりごとに対する反発
リスク管理の一環で、感染症蔓延時期の行動制限や施設内の目の行き届かない場所(屋上テラス・内階段など)への立ち入り制限を守ってくれない事例です。
施設としては、施設全体としてのリスク軽減をしたいため、細かい点まで制限をかけてしまいがちです。特に自立度の高い方からすると「なぜそこまで強制されないといけないのか」と反発されることもあります。
丁寧な説明は必須ですが、それでも納得されない場合は、家族の協力を得て一緒に説明していただいたり、ケアプランでリスクの理解を得たうえで、個別の対応として制限の範囲を緩和する等の対応をします。

入居者様のわがままにはどう対応する?

わがまま、と思われる行動に対しては、まずは施設として1つ1つ丁寧に対応することで、お互いの腑に落ちる改善策が見えてきます。
そのために必要なことを抑えておきましょう。
「気難しいな」と思う入居者ほど係わりを増やす
入居者と交渉するにあたっては、まず、こちらの提示をきちんと聞いていただける関係を構築することが一番大事です。
無理難題を押し付けてくる人というのは、総じて心の中になにか解消されがたい不満を抱えていることが多く、対応する私たちはそこに対する理解を持つことが大切です。
気難しいなと思う入居者ほど敬遠せず、係わりを増やすことです。
まずは、顔を合わせた時の挨拶からでいいので、積極的に言葉を交わしましょう。最初は不愛想な対応をされるかもしれませんが、気にせず笑顔で関わります。人生の先輩の懐に入り込むつもりで、心をつないでいくことです。
高齢者の心理・認知症について学ぶ
介護の専門職として、高齢者の心理や精神構造、認知症について勉強することは必須です。
特に認知症は、今や高齢者の4人に1人が発症する病気です。介護にかかわる私たちは正しい理解をもって対応しなければなりません。なぜ、わがままといわれる行動をするのか、そこにはどんな理由があるのか、どうしてそんな心持になるのか、そこに対する理解を深める必要があります。
いつか自分も味わうであろう喪失感や不安に寄り添うことで、入居者の思いを受け止めていきましょう。
入居者のケアについて見直してみる
わがままな言動をする入居者は、普段の生活の中で自身の心身を持て余している場合もあります。マンネリや退屈がストレスを生み、暴言につながる等です。
一度、その方のケアについて見直してみましょう。自立支援は適切に計画されているか、健康的に行動できているかなど、自身のことを理解し表現できる方であれば、一緒に考えるのもいいでしょう。
入居者のわがままに対して施設長としてすべきこと

施設介護を行う上で、困難事例があるとたちまち現場は動揺します。現場職員だけでは解決しがたいこともあります。
施設全体の問題として改善していくために、施設長ができることはどんなことがあるでしょうか。解決の近道としてのポイントを押さえておきましょう。
誰にとっての困りごとか
入居者のわがままにより、困っているのは誰でしょう。職員、他の入居者、それとも本人でしょうか。その立場により感じることは違いますので、その1つ1つを紐解いていくことです。
現場の気持ち
現場の職員は、1日の業務の流れに沿って、ある程度時間通りに仕事を終わらせていくのに一生懸命です。そのため、入居者のわがままな発言や行動で、流れを足止めされることを嫌います。その気持ちが初期対応で入居者に伝わり、さらに事態を悪化させてしまうこともあります。
入居者も高齢ですから職員の言うとおりに行動ができないことのほうが多いものですが、職員にとってはどんどんストレスがたまりさらにパフォーマンスが落ちます。
負のスパイラルが始まらないうちに、1日の業務を見直したり、イレギュラーの場合の1日の業務も用意しておくと職員も安心して業務を行なうことができます。
施設長だからできること

入居者、職員への対応をしっかり理解したうえで、施設長として、入居者と職員の困りごと解決のために先頭に立つことです。
まず、1人の入居者にしっかり時間を割くことが困難な職員の代わりに、わがままな入居者の話をしっかり聞きます。この時のコツは、長丁場になることも予想し、たっぷりと時間をとって望むことです。
「何かあったときは、この人がきちんと聞いてくれる」と認識してもらいましょう。施設長が施設の中で一番信頼できる人になることは、職員にも入居者にも安心につながります。
また、職員に対しては、研修等できちんとした知識を学ぶ機会を作ることです。まずは、接遇をどの職員身に着けられるような環境を用意しましょう。そして、困難事例に対して、冷静に対応することの大切さを体現することです。職員と一緒に解決に取り組み、一緒に悩むことで、職員の離職も回避できます。
まとめ
入居者のわがまま、これは職員にとっては手ごわい問題です。職員は、下手な対応をして関係を悪化させること、時間を取られることをとても恐れます。
職員は入居者の気持ちに応えてあげたいという思いを抱いて業務にあたっていますが、施設としては簡単に受け入れることができないケースもあります。
しかし、その入居者にとっては感情表現の1つでもあるため、ただのわがままと片付けてしまうのではなく、一度足を止めて向き合うことです。まずは、そこに隠れている本音を引き出し、問題を紐解くために会話し、折り合いをつけていきます。その作業は、入居者のケアとなり、新たな関係の構築となっていきます。
「入居者のわがままはそのための大事なきっかけ」と捉えることで、わがまま=厄介という方式を薄くしていくことができます。
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