介護
投稿日:2024/07/22
更新日:2024/10/14
デイサービスの職場の環境と平均的な給料について解説!
目次
デイサービス(通所介護)は、夜勤が無く働きやすい介護施設として人気ですが、収入面はどの程度の水準なのでしょうか。そこで今回はデイサービスの職場環境や平均的な給料について解説します。デイサービスの実態や事情を知り、ぜひ転職時にお役立てください。
デイサービスについて解説!
デイサービスの主な業務内容とは
デイサービス(通所介護)で働く介護職員の主な業務内容として、大きく以下5つの種類が挙げられます。
・送迎
・健康管理
・食事
・入浴介助、排泄介助
・レクリエーション
以降ではそれぞれの働き方の具体的な内容を詳しく解説します。
送迎:
利用者さんの自宅に送迎車で出向き、事業所への送り迎えを行います。車へ乗り込むまでの移乗介助も大事な仕事です。専属の送迎ドライバーがいない事業所では、介護職員が車の運転まですることもあります。
健康管理:
体温測定、血圧測定、脈拍測定、体調の確認など、利用者さんの健康状態のチェックを行います。看護師のいる事業所では、医師の指示のもと医療行為や服薬の対応をすることもあります(医療行為は、医師・看護師でないと行えません)。
食事:
利用者さんがお昼に食べる食事の準備をし、食事の見守りやサポートを行います。嚥下機能が低下しており、上手く食べ物を飲み込めない方もいるため、誤飲や誤嚥が起きないように注意して見守ります。
入浴介助、排泄介助:
デイサービスでは入浴のサービスも行っています。衣服の着脱や湯船に入る際のサポートなどを行い、入浴を楽しんでもらいます。また、トイレに行きたくなった方の排泄介助も業務の一つです。
レクリエーション:
デイサービスでは、利用者さんを楽しませるためのレクリエーションが開催されています。例として、お絵描き、工作、俳句、将棋をはじめ、しりとりや伝言ゲームなどグループで楽しめる遊びまで、さまざまなレクリエーションを開催することになります。
当日の進行だけでなく、レクリエーションのアイデアを探し、企画を考えることも介護職員の役目です。高齢者の方が興味をもち、かつ簡単にできるレクリエーションを考案します。
なお上記の業務は、デイサービスにおける介護職員(介護士)の業務内容です。デイサービスでは介護士職員以外にもさまざまな職種の人が働いており、業務内容も異なります。
たとえば「生活相談員」であれば説明や相談業務が中心となり、「機能訓練指導員」であればリハビリテーションに関する業務が中心となります。
デイサービスで働くには
デイサービスの事業所で介護職員として働く上で、必須となる経験や資格は基本的にありません。人手が足りず年間を通し常にスタッフを募集している事業所も多く、「未経験OK」「無資格OK」の緩い採用条件の求人情報も探すと数多くあります。
もちろん「介護福祉士」等の資格を所持していれば、面接・選考をより有利に進められ役立ちますが、必須というわけではなく、何の経験がない方でもチャレンジできる仕事です。
デイサービスで働く人の前職はさまざまであり、福祉用具専門相談員、訪問介護のヘルパー、看護助手、保育士、栄養士など、比較的近い職種から転職してくる方もいますが、事務職、販売職、ドライバーなど、関連性の薄い分野の職種、異なる業界から転職してくる人も少なくありません。
なお、デイサービスの現場では、さまざまな利用者さんと向かい合うことになり、行う介護業務の範囲も広いです。そのため、まったくの未経験者であれば、実践的に介護の基礎を学べる「介護職員初任者研修」を受講しておくと、業務への理解が深められ、後で役立つことが多いでしょう。
また、専門的な職種として就職を希望する場合には特定の資格が必要になることがあります。たとえば「看護職員」として就職する場合は看護師国家試験に合格する必要があり、「生活相談員」として就職する場合は社会福祉士や精神保険福祉士の資格が必要になることがあります。
デイサービスのやりがい
デイサービスは、「楽しませる」「喜ばせる」という側面の強い介護サービスです。レクリエーションなどを通じ、多くの方を笑顔にできる仕事であるため、サービス精神旺盛の人であれば尚更にやりがいを感じやすく活躍しやすい環境です。
また訪問介護の現場のように限られた相手とのやりとりとなるのではなく、日々デイサービスを訪れる多くの利用者と接することになるため、そのようなにぎやかな環境で働けることも魅力です。
デイサービスの利用者の方は要介護者とはいえ自立度の高い方が多く、業務を通じて会話や交流を楽しめ、介護職員のほうが興味深くためになる話を聞かせて貰い勉強になることもあります。
特に「今日のレクリエーションは楽しかった」「元気がでた」などの声をかけてもらうと、感無量で充実した気持ちとなることもあります。
介護業界におけるデイサービスのサービス内容と加算について
どのような利用者が利用するサービスなのか
介護保険サービスとしてデイサービスを利用できるのは、要介護1~5の介護認定を受けた高齢者です。
なお、要支援者(要支援1・2)の方も、介護保険サービスではなく地域支援事業(介護予防・日常支援総合事業)の扱いとしてデイサービスを利用することができますが、この場合、利用回数などに制限が設けられます(要支援1は週1回まで、要支援2は週2回まで)。
デイサービスの利用者の傾向としては、全体的に要介護度の低い方が多く、要介護度別の利用割合の詳細は、要介護1・2が約68%、要介護3~5が約32%で、平均要介護度は2.1と集計されています(厚生労働省の資料より、令和4年度の値)。
また、専門的なデイサービス施設では利用者層も異なります。たとえば「認知症対応型デイサービス」の対象は認知症患者となり、「リハビリ特化型デイサービス」の利用者はリバビリや機能訓練を求める方が中心となります。
基本料金はどれくらい?
デイサービスの利用料金の相場の目安は、厚生労働省の介護サービス紹介のページにて、下記のように示されています。
サービス費用の設定 | 利用者負担(1割) (1回につき) |
要介護1 | 655円 |
要介護2 | 773円 |
要介護3 | 896円 |
要介護4 | 1018円 |
要介護5 | 1142円 |
参考:厚生労働省サイト
※通常規模(1ヵ月の平均利用延べ人数301人以上750人以内)の事業所の場合(7時間以上8時間未満
利用料金がいくらになるかは施設の規模も影響します。規模の大きい施設ほど、利用料金の水準は安くなるのが一般的です。
また、受けるサービスによって料金が加算されることもあり、たとえば入浴介助加算(1日40~55円加算)、口腔機能向上加算(1回150~160円加算)のように、サービス毎に加算料金が設定されています。
次に、要支援者の場合は、1か月毎に基本料金が定められております。
認定区分 | 1ヶ月利用時の基本料金 | 1単位=10円で計算した場合の費用 |
要支援1 | 1,672 単位/月 | 16720円 |
要支援2 | 3,428 単位/月 | 34280円 |
参考:医療法人社団弘秀会 米田病院介護医療院 デイサービス利用料金表
これに加え、要支援者の場合も利用したサービスに応じて料金の加算が行われ、たとえば運動器機能向上加算(225 単位)、若年性認知症利用者受入加算(240 単位)のように、さまざまなサービスに加算料金が設定されています。
また、要介護者、要支援者問わず、日常生活費(食費・おむつ代など)は、別途料金徴収する形となるのが基本です。金額の目安として、食費は1日600円程度、おやつは100円程度、おむつは100~200円程度となります。
デイサービスの雇用形態別の給与について
雇用形態別の平均的な給料を比較
正社員
厚生労働省の調査結果によれば、デイサービス(通所介護事業所)に勤めるサラリーマン(月給の者)の平均給与額は、以下となります。
平均給与額(常勤、月実働163.2時間) | 275,620円 |
平均給与額(非常勤、月実働102.3時間) | 168,170円 |
参考:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 P122より
デイサービスの平均給与額は275,620円となり、介護施設の中でも低い部類に入ります。比較として、介護老人福祉施設(特養)の平均給与額は348,040円、介護老人保健施設(老健)は339,040円、訪問介護事業所は315,170円となっており、これらの施設に比べデイサービスは月収が低めです。
パートタイム
厚生労働省の集計によれば、デイサービス(通所介護事業所)に勤めるパート(時給の者)の給料データは、以下となります。
平均給与額(常勤、月実働164.2時間) | 207,240円 |
平均給与額(非常勤、月実働94.2時間) | 116,750円 |
参考:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 P124より
パートの場合、正社員と同等の月実働164.2時間働いたとしても平均給与額207,240円となり、前述した正社員の平均給与額275,620円に比べるとだいぶ低い処遇となっています。
また、パートやアルバイトの場合、正社員とは違い、各種手当、補助、賞与、福利厚生等の恩恵が少ないことも考慮する必要があります。年収総額としてみると大きな差となりかねません。
管理職
厚生労働省の集計によれば、デイサービス(通所介護事業所)に勤める管理職の給料データは、以下となります。
管理職 | 345,740円 |
管理職でない | 269,380円 |
参考:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 P211より
管理職の平均給与額は345,740円となり、管理職でない人と比べ76,360円高い数値となっています。
給料を上げるためのキャリアアップについて解説
デイサービスで給料を上げる方法として、まずは一つの職場に長く勤務し、キャリアや経験を積むことです。
勤続年数に応じて昇給が行われ、徐々に給料が上がる制度の職場もあります。また、介護主任、管理職と役職を高めていけば、管理者、責任者として「役職手当」等が支給されるため、同じ職場でもさらなる給料アップが期待できます。
次に、介護に関連する特定の資格を取得していれば「資格手当」を受け取ることができます。入門資格となる「介護職員初任者研修」であっても、保有していれば1~2万円程度の資格手当を支給する施設もあるため、給料を確実に上げたい場合は資格取得を目指すのがおすすめです。
資格を保有していると給料が高くなるデータも存在します。以下は、デイサービス(通所介護事業所)での保有資格別の平均給与額の集計値となります。
介護福祉士 | 290,120円 |
社会福祉士 | 317,130円 |
介護支援専門員 | 313,480円 |
実務者研修 | 266,540円 |
介護職員初任者研修 | 265,900円 |
参考:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 P157より
上記の一覧のように、難易度の高い資格を保有している人ほど平均給与額は実際に高くなっており、介護職員の目標ともなる国家資格「介護福祉士」を持っている人の平均給与額は29万円を超えています。
デイサービスの職場環境と1日のスケジュールについて
どのような職場環境?
デイサービスの利用者の多くは要介護度1~2程度であり、実際のところ重度な状態の利用者さんは少なめです。
症状の重い利用者の多い特別養護老人ホーム(特養)のように、みとりの場面などに立ち会うこともほぼなく、比較的明るい気持ちで働ける環境であることが多いです。
また職場環境はデイサービス事業所の規模によっても変わります。1日の利用者数が19名以上の「大規模デイサービス(大規模型通所介護)」では、集団での体操やレクリエーションなどが実施されるため、にぎやかな環境が好きな方、変化する環境が好きな方、幅広くさまざまな人と交流したい方向けです。
一方で、1日の利用者数が18名以下の「小規模デイサービス(地域密着型通所介護)」では、利用者一人一人と密接に関わる機会が増えるため、にぎやかな環境が苦手な方や一人の相手とじっくりと向かい合いたい方に向いています。
そのように事業所によっても職場環境は違うため、自身の性格や仕事をする目的などを踏まえた上で、自分に合った事業所を選びたいところです。
1日のスケジュール
ここでは、デイサービスで働く介護職員の一日の流れを時系列で紹介します。朝から夕方までどのような行動をするか知っておきましょう。
8:00 出勤 | 勤めているデイサービスの事業所へ出勤し、担当する利用者さんの名簿のチェック、テーブルやベッドのセッティングなど、朝の準備を先に行います。 |
8:30 お迎え、通所 | 送迎車で利用者さんのご家庭を訪問します。利用者さんが車に乗られる際は、身体に負担をかけないよう丁寧に介助します。 |
9:00 バイタルチェック | デイサービスの事業所に着いたら、利用者さんの体温や血圧などを測定し、異常の有無、健康状態に問題がないかを把握します。万が一、異常が発覚した場合は早急に対応します。 |
10:00 入浴 | 入浴は利用者さんの大きな楽しみの一つです。衣服の着脱のサポート、湯船への入浴のサポートなどを行います。身体を自分で洗えない方であれば、合わせて洗髪や洗身をすることもあります。 |
12:00 昼食 | お昼の食事を利用者さんの前に並べ、食事を見守ります。その際、自分で食べることのできない方には食事の介助を行います。食後の口腔ケアや服薬の介助も大切な仕事です。 |
12:30 休憩 | 介護職員たちのお昼の休憩タイムです。休憩は交代でとり、自由に過ごすことができます。 |
14:00 レクリエーション | レクリエーションも利用者さんが楽しみにしている行事の一つです。利用者さんが楽しめるよう笑顔で場を盛り上げます。 |
15:00 おやつ・昼寝 | 利用者さんにおやつを差し出します。この時間は雑談をして楽しむ利用者さんもいれば、お昼寝をする利用者さんもいます。 |
16:00 帰宅準備、送迎 | 帰宅の準備をはじめ、利用者さんを車でご自宅に送迎します。 |
17:00 ミーティング | 送迎が終わり事業所に戻ったら、一日の業務報告書の作成します。その後介護職員同士でミーティングを行い、情報の共有、改善点の共有などを行っておきます。 |
17:30 終業 | 後片付けや翌日の準備が終わればその日の業務は終了となり、帰宅します。 |
他の介護サービスと比べて時間がある
デイサービスは、名前の通り日中に行う介護サービスであるため、夜勤は通常発生せず日勤が主体です(ただし「お泊り型のデイサービス」では夜勤あり)。
また、平日のみ営業する方針の事業所が多く、土日や祝日はカレンダー通りに休日が取りやすいことも特徴的です。
日帰りであり、夕方になれば利用者さんたちは帰宅するため、日中の決まった勤務時間で働け、残業もあまり発生しないことが多いです。
こうしたことから、有料老人ホームやグループホームといった24時間体制で見守る介護施設に比べると、プライベートとの両立がしやすく、自分の時間をしっかりと作りやすい職場環境と言えるでしょう。
介護事業者が抱えるデイサービスの課題とは
人材不足
現在、介護業界では慢性的な人手不足の問題を抱えております。今後より深刻化する可能性も高く、厚生労働省の試算によれば、2040年には介護人材が69万人不足するとの予想も立てられています。
賃金の低さ、労働環境の厳しさ、体力が必要などのデメリットが原因となり新たな人材(特に若い人材)が集まりにくく、新たな人材をこれからどの様に呼び込むかが大きな課題となっています。
高齢化の進展
人口の多い団塊の世代が高齢者になったこと、また医療技術の発展により平均寿命がのびたことも影響し、社会の高齢化は現在進行形で進んでいます。
そのため増えるデイサービスの需要に対し、サービス提供(供給)が追いついていない状況です。デイサービスの利用の登録ができなかったり、待機者が発生している地域もあり、今後さらに増える可能性のある高齢者の需要にどう対応していくかも課題となっています。
運営コストの増加
デイサービスの経営は厳しい状況に立たされており、赤字経営や会社倒産に追い込まれる事業所も増えています。
背景には物価高騰、最低賃金の引上げなどによる運営コストの増加が影響していると考えられており、事業を維持するために、企業経営やビジネスモデルの見直しを迫られている事業所も少なくありません。
サービスの質の向上
人手不足の影響から一人あたりの仕事量が増え、業務が乱雑になったり、サービスの質が低下してしまっている事業所も少なくありません。
また、「同僚が仕事を辞めたことで仕事量が増え、気が滅入り自分も辞める」「残された人の仕事量がさらに増える」「ノウハウがあり指導ができる人材が育たない」といった悪循環に嵌っている事業所もあります。
サービスの質を向上させるためにも、課題を見える化し、人手を集め、定着させる戦略が求められます。
地域との連携
デイサービスの場合、基本的にその地域の人が利用者となります。そのため、売上を増やし事業を継続させるには、地域ならでなのニーズを掴み、地域で評価され繰り返し利用してもらえる「いいデイサービス」を目指すことが課題となります。
また、高齢者や要介護者だけでなく、子育てや仕事を抱える若い世代など一般の方も利用可能な「多世代型デイサービス」を目指していくことも、地域によっては重要なポイントとなってきます。
家族とのコミュニケーション
デイサービスをよりよいものにしていくためには、利用者さん、またその家族の方とのコミュニケーションが欠かせません。
しかし、介護の知識やスキルが豊富ではあるもののコミュニケーションが苦手な介護職員もおり、自身のコミュニケーション能力に悩み退職する方もいます。
サービスの質を向上させ人手を定着させる意味も含め、コミュニケーション能力のスキルアップ教育を実施したり、悩んでいるスタッフに対しては、フォローやメンタルのケアをすることなども、見直すべき点となってきます。
まとめ
以上、デイサービスの職場環境や平均的な給料について解説しました。
記事内で解説した様に、デイサービスの給料水準は介護施設の中でやや低くい部類に入りますが、資格を取得したり、管理職へステップアップすることで給料アップを図ることは可能です。
また、デイサービスには「レクリエーションなどを通じ楽しませることができる」「にぎやかな環境で働ける」「夜勤がない」などの特有のメリットもあるため、そうした良い点と給料水準の低さを天秤にかけ、転職をどうするべきかを検討していきたいところです。
この記事の著者
派遣のキャリアマルシェ_編集部
介護業界への転職・派遣に関する記事を制作・配信している編集部です。20年以上の介護施設運営歴のある弊社より、介護事業所で働く皆さんに役立つ情報を発信しています。
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