介護
投稿日:2024/08/07
更新日:2024/10/11
介護福祉士国家試験の過去問7つの要点を押さえて合格する方法を解説!
目次
介護福祉士国家試験は、介護業界でのキャリアアップを目指す人にとって重要な資格となります。
本記事では、過去の問題から見えてくる7つの要点を徹底解説します。まず介護福祉士国家試験の概要を押さえ、その後、過去問から導き出された重要なポイントに焦点を当てます。
さらに試験の要点が大きく変わったタイミングとその背景にも触れ、最新の動向に対応した学習方法を提案します。
最後に勉強に役立つ参考資料や勉強方法を紹介します。これらの情報を基に一緒に合格を目指しましょう。
【介護福祉士国家試験とは】
介護には様々な資格がありますが、介護福祉士は数少ない国家資格となります。
介護福祉士の資格を取ることで、給与UP・キャリアアップが見込めますし、転職にも有利となります。求人票に「介護福祉士資格者」と記載されていることもしばしばあります。
そのようなこともあり、介護士の取りたい取得ランキングでも常に上位に入る人気資格となります。そこで今回は、介護福祉士国家試験について、受験資格やポイント、過去問の傾向や勉強方法・コツなど解説します。
■受験資格
介護福祉士の受験資格を得るためにはいくつかのルートがあります。
① 実務経験ルート
こちらは一番オーソドックスなルートかもしれません。「実務経験3年以上」+「実務者研修(450時間)」の条件を満たすと受験資格を得られます。もしくは「実務経験3年以上」+「介護職員基礎研修+喀痰吸引研修」でも受験資格を得られます。
② 養成施設ルート
こちらのルートは、指定された介護福祉士養成施設(2年以上)を卒業後に受験資格を得ることができます。もしくは「福祉大学or社会福祉士養成施設or保育士養成施設」を卒業した上で、介護福祉士養成施設(1年以上)を卒業しても受験資格を得ることができます。
③ 福祉系高校ルート
こちらのルートは福祉系高校で定められた科目・単位を取得(1,855時間程度)し、卒業することで、受験資格を得ることができます。
■難易度と合格率
①難易度
介護福祉士国家試験の合格ラインは、筆記試験・実技試験ともに60%を基準に、難易度によって調整が入ります。そのため合格ラインは毎年変動するのが一般的です。
なお「3年以上の実務経験」があり、「介護福祉士実務者研修」を修了していれば、実務試験は免除されます。
難易度についてですが、個人差があるので何とも言えませんが、一定の学習時間の確保ができれば、1回目での合格が可能なレベルの難易度といえるでしょう。
試験の準備期間とすると最低半年以上勉強された方が多い状況です。勉強時間が短いとその分、不合格になる確率が高まりますので、早めに勉強を始めことをおすすめします。
②合格率
2024年に実施された「第36回介護福祉士国家試験」の合格率は82.8%となりました。
第31回~34回は合格率70%前後だったのですが、2023年以降合格率が80%以上となっており、現在の合格率は上昇傾向にあります。
■介護福祉士でできること
介護福祉士でできることはさまざまあります。1つ1つ具体的に見ていきましょう。
①身体介護
身体介護では主に次のような介助をします。食事介助、入浴介助、排泄介助、移動介助などです。入居者の身体に直接触れる介助は、正しく行わないと怪我や体調不良を引き起こすリスクがあります。専門知識を有する介護福祉士は、正しい介助のお手本としても現場で活躍します。
②生活支援
掃除・洗濯・料理などの家事支援や買い物代行、医療機関への付き添い、診察サポートなどでも介護福祉士は必要とされます。
③介護計画の作成と実行
利用者の状況を把握し適切な介護計画を立てたり、介護計画に基づきちゃんと実行できているか利用者の状態を定期的に評価したり、必要に応じて介護計画を見直したりする仕事もできます。
④リハビリテーション支援
利用者の身体機能の維持・向上をサポートしたり、着替えや食事動作の練習など日常生活動作の訓練を支援する仕事もできます。
⑤相談業務
サービス利用者の家族に対して、介護用品の使い方、選び方や解除の方法など相談に応じる仕事もできます。
⑥マネジメント業務
介護福祉士として経験を積みキャリアを築き上げることで、リーダー職を務めることがあります。
介護職のリーダーとしてスタッフの指導・育成や勤務シフトの作成や管理などを任されることもあります。
⑦講師業務
介護福祉士の専門知識を活かし、介護福祉養成施設や福祉系高校で教えることも可能です。
以上のことから介護業界で働く上で、介護福祉士の資格を取得することは、たくさんのメリットがあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
【過去の問題から見えてくる7つの要点】
介護福祉士を受験するにあたり、効率の良い勉強方法をお伝えしたいと思います。
まずは過去問の出題傾向を把握することが重要です。なぜなら全範囲満遍なく勉強するのは時間もかかりますし、非効率だからです。
出題傾向を予想し勉強する箇所を選び、出る可能性の高い箇所を集中して勉強することで短期間で合格点が取れる実力を身につけていきたいと思います。
介護福祉士の問題を解くうえでのキーポイントを7つに分け、大切なところを解説していきたいと思います。
■基礎的な介護知識
基礎的な介護知識は例年10問程度出題される分野となります。どのようなことが出題されるかというと下記のようなことが問われます。
- 介護福祉を取り巻く状況
- 介護福祉の歴史
- 介護福祉の基本理念
- 介護福祉士の役割
- 介護福祉における自立支援
- リハビリテーション
- 介護を必要とする人の理解
- 介護を必要とする人の生活を支える仕組み
- 介護における安全の確保
- 介護従事者の安全
重要なポイントとしては、介護の理念や倫理、法的規範の基礎をしっかり理解することです。もう1つは高齢者や障害者の特性や心理を正しく理解し、それに基づく適切な介護方法を学ぶことです。
専門用語が多く出る分野でもありますので、用語集など活用して用語の意味や活用方法を理解するのも重要です。
■医療知識と介護
医療的ケアは例年5問程度出題されます。この分野は介護福祉士になる人にとって、とても重要な知識を問われる分野となります。
なぜなら介護をするうえで医療的ミスは命に関わるからです。それと同時に介護が必要な高齢者・障害者にとって生活の場で医療的ケアの機会が確保されれば生活の質が向上されることでしょう。
試験では下記のようなことが問われます。
- 医療的ケア実施の基礎
- 喀痰吸引の基礎的知識・実施手順
- 経管栄養の基礎的知識・実施手順
上記を勉強するうえで重要なポイントは3つあります。
1つめは、関連法規と倫理をしっかり理解することです。
例えば、介護保険法、医師法、看護法などをしっかり理解し、介護職員が行われる医療的ケアの範囲や条件をしっかり理解しましょう。また倫理に関しても患者の権利やプライバシーの保護の知識なども重要です。
2つめは、基本的な医療的ケア技術についてです。吸引、経管栄養、導尿などの基本的な医療ケア技術をしっかり理解し、それぞれの手順や注意点をしっかり覚えましょう。また感染防止対策などリスク対策についての知識も重要となります。
3つめは解剖生理学の基礎知識です。呼吸器系、消化器系、泌尿器系など医療的ケアに関連する主要な人体の構造と機能を理解していきます。
■認知症ケア
認知症ケアは例年10問程度出題される分野です。どのようなことが出題されるかというと下記のようなことが問われます。
- 認知症を取り巻く環境(歴史・理念など)
- 認知症の医学的・心理的側面基礎的理解
- 認知症に伴う生活への影響と認知症ケア
- 連携と協同(地域におけるサポート体制など)
- 家族への支援
上記を勉強するうえで重要なポイントは5つあります。
1つめは認知症の基礎知識についてです。認知症とは何か、アルツハイマー認知症、前頭側頭型認知症などの主要なタイプの特徴と違いを理解しましょう。
2つめは症状と経過についてです。初期・中期・末期など認知症の進行過程で現れる主な症状を把握しましょう。また認知症がどのように日常生活に影響を与えるか、具体例を含め理解することも大事になります。
3つめは認知症ケアの基本についてです。認知症の方とどのようなコミュニケーションをとるべきか具体的な方法を学びましょう。
4つめは法的・倫理的な問題についてです。認知症の方の権利を守る成年後見制度の概要を理解したり、認知症の方への虐待防止策を把握していきます。
5つめは、認知症に関する最新情報についてです。治療と予防や支援制度などアンテナをしっかり張っておくことが大事になります。
■介護保険制度と法令
介護保険制度と法令は例年12問程度出題される分野です。どのようなことが出題されるかというと下記のようなことが問われます。
- 社会保障制度
- 高齢者福祉と介護保険制度
- 障害者福祉と障害者保健福祉制度
- 介護実践に関する諸制度(個人の権利を守る制度、地域生活を支援する制度など)
上記を理解するうえで重要なポイントは2つあります。
1つめは介護保険制度の基本的なしくみを理解することです。介護保険の目的、保険者、被保険者、保険料などをしっかり理解していきます。
2つめは法令と倫理規定についてです。個人情報保護や虐待防止、利用者の権利擁護などしっかり理解していきましょう
■高齢者の心理と生活支援
高齢者の心理と生活支援は例年26問程度出題され、一番出題される分野となります。ただ難易度とすると他の分野に比べ易しい問題が多いので、しっかり点数を稼いでいきたい分野になります。どのようなことが出題されるかというと下記のようなことが問われます。
- 生活支援の理解
- 自立に向けた居住環境の整備
- 自立に向けた移動の介護
- 自立に向けた身支度の介護
- 自立に向けた食事の介護
- 自立に向けた入浴・生活保持の介護
- 自立に向けた排泄の介護
- 自立に向けた家事の介護
- 休息・睡眠の介護
- 人生の最終段階における介護
- 福祉用具の意義と活用
上記を理解するうえで重要なポイントは6つあります。
1つめは日常生活の援助技術についてです。老化が進むと今まで簡単にできていたことができなくなります。食事、入浴、排泄などの基本的な生活支援技術の理解や介護を受ける人の自立を促すための方法や尊厳を保つ方法を理解していきます。
2つめ環境整備です。清潔で安全な生活環境を整えるための知識や感染予防対策、安全対策を理解していきます。
3つめはコミュニケーションについてです。介護を受ける人との効果的なコミュニケーション方法、信頼関係を築く方法、非言語的なコミュニケーションも理解していきましょう。
4つめは心理的支援についてです。介護を受ける人の心理的なニーズを理解し、適切に対応する方法を理解していきます。また家族へのこころのケアも大事となります。
5つめはリハビリテーション支援についてです。介護を受ける人のリハビリテーションを支援する基本的な知識を学びます。
6つめは介護機器の使用についてです。車椅子や歩行補助具などの介護機器の正しい使用方法を学びましょう。
■緊急時の対応
緊急時の対応については、下記のようなことが問われます。
- 介護における安全の確保
- 事故防止、安全対策
- 感染対策
上記を理解するうえで重要なポイントは4つあります。
1つめは緊急時の初期対応についてです。転倒や火傷、誤嚥等の事故が発生した際の対応方法を理解します。
2つめは感染予防と対応についてです。インフルエンザやコロナウイルスなどの主要な感染症の症状と感染経路を理解します。
また適切な消毒方法など感染を防ぐための基本的な予防策を学びます。そして感染が疑われた際の隔離方法や報告手順なども理解すると良いでしょう。
3つめは応急手当です。人工呼吸や心臓マッサージの基本的な手順を理解したり、AEDの使用方法を理解することも重要です。
4つめは医療機関への連携です。緊急時に救急車を呼ぶ際のポイントや救急隊に伝えるべきポイントを理解しておきましょう。また医師や看護師との連携、必要な書類についての知識も重要です。
■家族との連携と支援
家族との連携と支援については下記のようなことが問われます。
- 介護場面における家族とのコミュニケーション
- 認知症を抱える家族への支援
- 障害を抱える家族への支援
上記を理解するうえで重要なポイントは2つあります。
1つめは情報提供と説明です。家族に対して介護サービスの内容や進捗状況を分かりやすく説明し、適切な情報を提供することが重要です。
2つめは家族のストレスケアです。認知症を抱える家族は多大なストレスを抱えることが多いです。そのため定期的な相談やカウンセリングが必要なことを理解しましょう。
以上7つの要点を解説しましたが、ご理解いただけましたでしょうか。苦手分野を繰り返し復習し実力をつけていきましょう。
【要点が大きく変わったタイミングとその要因】
介護福祉士資格は1987年に国家資格として誕生しました。歴史ある資格のため、社会情勢や制度改正などに伴い、試験の要点も変わってきました。とくに大きく変わった時期について解説していきます。
■2000年の介護保険制度導入
2000年に導入された介護保険制度は、高齢化が進む日本において、高齢者が安心して暮らせるよう介護サービスの提供を支援する仕組みです。
介護保険制度導入により、介護福祉士の役割も変化しました。単なる介護の提供者から利用者の自立支援や生活の質を高めるための専門職としての役割が強調されるようになりました。
そのような背景もあり、以前の試験範囲は主に身体介護や生活支援の知識が中心でしたが、制度導入後は介護保険の理解、高齢者福祉の総合的な知識(福祉支援や地域支援の仕組みなど)、老人ホームや医療との連携なども試験範囲に追加されました。
■2011年の介護福祉士国家試験の大改正
2011年に介護福祉士国家試験が大改正されました。背景としては、介護現場で介護福祉士の役割がより重要になり、専門的な知識と技術が、より求められるようになったからです。
大改正後、試験範囲は拡充されました。以前までは主に介護技術や知識に焦点が当てられていましたが、改正後は介護の実践的な内容がより重視されるようになりました。
具体的には、生活支援技術、福祉関連法規、医療的ケアなどです。またそれに合わせ試験の出題数も増えました。そのほかに実技試験の免除や試験の実施回数の増加などもこの改正で行われました。
■2021年の「社会福祉及び介護福祉法」改正
2021年の「社会福祉及び介護福祉法」改正により、介護福祉士の認定基準が厳格化され、専門的な知識や技術の習得が、より重視されるようになりました。
それに伴い試験範囲も見直され、具体的には社会福祉や医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養)に関する知識や技術がさらに重要視されるようになりました。
【勉強で使用する参考資料】
これから勉強を始める方へのおすすめのテキストやWEBサイトを紹介します。
■おすすめ参考書
『みんなが欲しかった! 介護福祉士の教科書 2025年度版 [新国家試験出題基準に完全対応!]』
こちらは、資格の学校TACが出版した参考書になり、広範囲にわたる出題範囲をコンパクトにまとめており見やすいです。また図表やイラストも多いので理解しやすいと思います。
『改訂版 ゼロからスタート! 馬淵敦士の介護福祉士1冊目の教科書』
こちらはスクール合格率9割越えのトップ講師が初学者に向けて、合格への最短ルートを提示しています。こちらの本1冊で13科目の幅広い範囲を網羅しています。
■おすすめWEBサイト
アガルートアカデミーさんのサイトは参考なります。
とくに科目別にコラム記事が掲載されており、試験の内容・勉強方法など役立つ情報が満載です。気になる部分だけでもテキストを読む前に目を通しておくと、勉強に取りかかりやすく感じるかもしれません。
https://www.agaroot.jp/kaigofukushi/column/
■要点を活用した勉強方法
まずは介護福祉士資格の試験範囲と上記記載の7つの要点をしっかり頭に入れましょう。
そして自分に合う参考書、問題集を1冊買いましょう。テキストは何冊も購入せずに同じものを繰り返えすイメージです。
動画の方が理解しやすければYouTubeにもいくつか勉強方法の動画が上がっていますので参考に見てみるのも良いと思います。
そして各項目ごとに過去問題集の問題を解いていき、苦手な問題や間違えやすい問題を解けるようにしていきましょう。
問題集に関しては、無料のアプリもありますので利用するのも手です。
試験直前は模擬試験を受け、実際の試験形式になれるのも有効な手段です。
問題を解く際は時間配分に注意しながら、回答していき本番を意識して勉強を進めて参りましょう。
勉強のモチベーションを保つうえでも、どこまで勉強が進んだかチェックボックスにレ点を入れていくのも良いかもしれません。
■まとめ
介護福祉士国家試験の勉強方法について解説させていただきました。
試験範囲は広いですが、しっかり勉強すれば有料講座に通わず独学でも十分受かる資格です。苦手な個所を何度も確認し、確実に正答を導き出せるまで勉強を続け、自分で考える癖を身につけましょう。
そうすることで、いつか問題を解いていて「あっわかる!」と思えるときが来ると思います。そこまで勉強を進めることができれば、知識も定着しており、高い確率で合格するでしょう。
最後にこの記事が合格に向けての一助になれば幸いです。
この記事の著者
派遣のキャリアマルシェ_編集部
介護業界への転職・派遣に関する記事を制作・配信している編集部です。20年以上の介護施設運営歴のある弊社より、介護事業所で働く皆さんに役立つ情報を発信しています。
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