介護
投稿日:2024/07/24
更新日:2024/10/14
介護職での目標管理シートの立て方と書き方のポイントについて具体的な例文を紹介
目次
介護の現場では、介護職が個人目標を立て、目標管理シートに記載することが一般的になってきました。介護業界に未経験で転職した人にとって、何を書いていいか分からず戸惑うことも多いのではないでしょうか。
個人目標を設けることで、日々の業務に対するやりがいが高まり、スキルアップやキャリアアップに繋がります。
さらに、近年国が推進しているキャリアパス制度を受けて、介護職はキャリアプランを作成し、自己評価を行うことが求められています。この時期に適切な目標を設定し、自己評価をしっかり行うことで、長期的なキャリアアップが実現しやすくなるメリットがあります。
この記事では、目標設定のメリットと目標管理シートの書き方の具体例を解説します。
例文も紹介していますので、個人目標を設け、より具体的な目標管理シートを作成したい方は、ぜひ参考にしてください。
介護職が個人目標を立てる理由
キャリアパス制度を導入している介護施設や事業所に転職した時には、目標管理シートの提出を求められることがあります。
介護職の賃金改善の加算である「介護職員処遇改善加算」を算定する際に必要な資料となるもので、介護職は職歴に関係なく個人目標を設け、振り返りの機会を持つことが求められています。
介護職が個人目標を立てることで、以下のようなメリットがあります。
モチベーションアップに繋がる
個人目標を設定すると、日々の業務に対するモチベーションが高まります。
目標を持たずに、毎日のルーティンとして業務に従事していると、本来求められる業務とは何か分かりません。
その為、どの様に働いたら評価されるか分からない為、モチベーションが低下し、自己成長につながりにくくなります。
逆に、目標を設定することで達成感を感じやすくなり、業務の効率化や問題の解決に役立ちます。
例えば、「利用者の不安をなくすために笑顔で接する」「毎日利用者としっかり会話する」等といった目標を設けると、理想のビジョンに向けてサービス提供しようとする気持ちが高まり、介護の質が向上します。
スキルが向上する
理想とする個人目標を持つことで、達成するために必要な情報を自身で探すようになり、計画的に習得できるようになります。
例えば、認知症ケアの専門知識を深めることを目標として設定する場合、関連する研修やセミナーに参加し、どのようなスキルを身に付けるべきかを考えて、一人ひとり主体的に行動に移せるようになるのは大きな成果です。
また、勉強会等で取得したスキルを、介護の現場で実践する機会も増えるため、漠然と業務を行いがちですが、知識とスキルを押さえてから取り掛かることで効率的に業務改善に役立つのも特徴です。
目標が具体的で可視できるものであればあるほど、必要なアクションを起こしやすくなり、その結果、スキルが向上します。
キャリアアップに役立つ
介護職としてのキャリアを積んでいく中で、目標設定は重要な役割を果たします。明確な目標を持つことで、計画的なキャリアアップが可能となります。
例えば、介護福祉士の資格取得を目指す場合、合格に必要な実務経験や知識の習得にどれくらい時間がかかるか等の基準を元に計画的に実施できるようになります。
介護支援専門員(ケアマネ)として、ケアプランの作成に関わるという目標を立てた場合、介護福祉士の国家資格を取得してから、ケアマネの試験に挑戦するという道筋が見えてきます。
社会福祉士を目指す場合も同じで、最短最速で取得する仕組みやコツを見つけやすくなるのが大きな魅力です。
目標達成の過程で得られる小さな成功体験は、自信を持って次のステップに進む原動力となり、キャリアアップに役立つことでしょう。
また、目標管理シートを介護施設の長に提出することで、どのような目標を設け利用者をサポートしているかを職場の管理職やリーダーが認識できるため、周りの支援を受けることが期待できます。
目標を立てるときのポイント
目標管理シートを人事評価に活用している介護施設や事業所も多く、目標の達成具合が給料アップや昇格に影響を及ぼすこともあります。
だからこそ、個人目標を明確に設けることが重要になってきます。目標を立てる時のポイントは以下の通りです。
自分自身の課題を明確にする
まず、現在の自分の能力と理想像との違いを明確にしましょう。自身の課題を業務の流れや人間関係、コミュニケーション、マナー等のさまざまな角度からチェック・分析してみてください。ある程度の課題を洗い出し、一覧を作ると役立ちます。
コミュニケーションに課題がある場合、「高齢者の心の状態を理解する」「家族からの質問や不安に丁寧に説明する」「勉強会でコミュニケーションスキルを学ぶ」「日々の変化や状況を詳しく記録・報告し、スタッフ間の連絡を徹底する」といった具体的に決め、目標を設定します。
なるべく具体的なものにする
目標は具体的であるほど、達成に向けた道筋が見えやすくなります。「苦手な介助を解消する」というような抽象的で一般的な目標を立てると、達成感を感じるのが難しいため、モチベーションが低下します。
より具体的に、「〇〇技術の習得」「〇〇資格の取得」「1日〇回以上〇〇する」といった内容を設定しましょう。
「1ヶ月以内に入浴介助の技術をマスターし、スムーズに行えるようにする」「認知症に関する本を毎月10冊読んで感想を書く」といった目標は、具体的で分かりやすく、達成に向けての到達する段階が可視できます。
また、目標は実現可能な範囲内で設定するのもポイントです。現状と大きくかけ離れた目標を設定すると、モチベーションが保てずに途中で挫折してしまうかもしれません。
期間を設定する
具体的な目標を立てる場合、達成のために必要な方法と期間を設定することが大切です。「来年3月までに」、「5年で」等の期限を設けることで、日々の計画を立てやすくなり、達成に向けた行動がより具体的になります。
例えば、「半年以内に認知症ケア専門士の資格を取得する」といった具体的な期限を設定した場合、目標達成に向けたスケジュールを組み立てやすくなり、日々の取り組みに対する意識も高まります。
達成度を設定し、自己評価を行う
目標の達成度を数値化し、定期的に自己評価を行うことで、自身の成長を段階的に確認できます。自己評価は目標達成に向けたモチベーション維持にもつながるため、定期的に振り返ることで効果がアップします。
毎月一度、自分の目標に対する進捗を確認し、達成度を評価します。自己評価を行う際、何が上手くいったのか、上手くいかなかったのはどうしてか、どこに改善点があるのかを明確にすることで、次の行動に繋げやすくなります。
将来のキャリアをイメージする
自分のキャリアを見据えた目標を立てると、長期的な視点に立ったキャリアプランが作成できます。
将来的にどのような介護職を目指すのか、そのために必要なスキルや資格は何か、取得するために今月・今週・今日すべきことは何かといった具合に、将来あるべき姿から逆算して目標を設定するのがおすすめです。
「5年後、ケアマネの試験を受験するために、今から必要な資格や経験を積む」「入社9年で介護施設のトップになるために、最初の1年で介護福祉士実務者研修を修了する」といった具体的なキャリアプランを立てることで、毎日の業務に対する意識が変わり、より積極的にスキルアップを図ることができます。
キャリアプランを立てて目標に必要な課題をクリアするたびに、モチベーションが向上し、次のステージに向けた行動を起こしやすくなります。
目標管理シートを書くときのポイント
職歴や職種によって目標管理シートに書く内容は異なりますが、目標を高く設定しすぎず、具体的な数を用いて表す点の意味合において共通しています。
経験年数1〜3年の新人や若手職員は、まず新しい業務を覚えて仕事に慣れる必要が流ので注意しましょう。
そのため、仕事に必要な基本的なスキルや知識の習得、介護職としてのマナー・身だしなみ・人間関係に関する目標を設けることをおすすめします。
主任やリーダー等の中堅レベルの介護士は、基礎的な知識やスキルは概ね習得済みで、教わる側から教える側に徐々にシフトチェンジしていく時です。
さらなるステップアップのために、介護福祉士やケアマネジャー等のより専門的な知識の習得やチームマネジメントスキルの獲得、外部や看護師との医療連携を目指すと良いでしょう。
10年以上のベテランになると、中堅以上の介護士をまとめ、指導する立場になっていきます。現場のチームマネジメントに携わるだけでなく、施設の方針に沿って全体の管理者や運営の責任者などの役職に就くケースもあるでしょう。
そのため、マネジメントスキルの他にも、会社の経営に必要な知識をつけることについても目標に落とし込むことが大切です。
いずれの職域でも共通する目標管理シートに書く際のポイントは以下の通りです。
ハードルを上げすぎる/下げすぎる
目標設定の際には、現実的かつ挑戦的な目標を設定することが重要です。ハードルが高すぎるとモチベーションが下がる可能性があり、逆に低すぎると成長が見込めませんので注意しましょう。
自身にとって適切な難易度の目標を設定し、達成に向けたモチベーションを維持することが大切です。
目標の難易度が高すぎると判断した場合は、再度設定し直してみるのも良いでしょう。逆に目標の難易度が低く、すぐに目標を達成してしまう場合は、少し高めに設定し、モチベーションを向上させましょう。
具体的な数値で目標を設定する
目標は具体的な数値で設定すると達成度が把握しやすくなります。例えば、「1ヶ月で5回研修に参加する」「1カ月で利用者からフィードバックをもらい、毎回5つの業務改善を上司に提出する」といった具合です。
「〇ヵ月後」「〇年以内」「〇個の提案」など数を表すように意識すると、自分の進捗を確認しやすくなり、目標達成に向けた行動が取りやすくなります。
具体的な数値で目標を設定する場合でも、現状では達成困難な数を書くことは、自身の首を絞める結果となります。
ハードルを上げすぎず、下げすぎず、現状を客観的な視野でみつめて書くように心がけましょう。
目標管理シートの記入例
「目標の立て方や目標管理シートの記入方法が思いつかない」「どこまで具体的に書けばいいのか分からない」未経験で転職したスタッフの中には、このような悩みを抱え、今後働く上での目標管理シートが書けないと悩んでしまう人が少なくありません。
働く上での目標を立てて自分の課題を把握し、やるべきことを明確にすることでキャリアに良い影響をもたらします。「コミュニケーション」「資格」「後輩の育成」の3ジャンルに分けて、目標管理シートの記入例を紹介します。
コミュニケーションについての目標
【良い例】
- 1ヵ月以内に利用者の顔と名前をすべて覚える
- 1日5回以上、自分から利用者に挨拶と声掛けを行い、必ず名前で呼ぶようにする
- 利用者とのコミュニケーションスキルを向上させるため、毎週1回コミュニケーションの勉強会に参加する
- コミュニケーションと傾聴スキルを向上するため、傾聴セミナーに参加し、学んだことを職場で実践する
- 3ヶ月先までに利用者からのフィードバックを収集し、改善点を明確にする
【改善点がある例】
- 利用者の顔と名前をなるべく早く覚える
- 利用者や家族とうまく話すように心がける
- 利用者が気持ちよく過ごせるようにする
- 分からないことがあれば、すぐに先輩に相談する
資格についての目標
【良い例】
- 介護福祉士の資格を取得するため、毎日最低1時間以上、休日は3時間以上の勉強時間を確保し、受験の日までに問題集を10回転する
- 3ヵ月後にレクリエーション介護士の資格を取得し、オリジナルのレクリエーションを毎週1つ以上作成できるようになる
- 5年以内に社会福祉士の資格を取得するためにセミナーを受講する
【改善点がある例】
- 介護福祉士の資格を取得する
- 社会福祉士の資格を取得する
- ケアマネの資格を取得する
後輩の育成についての目標
【良い例】
- 新人職員の人材育成担当として、月に1回の面接を行い、3ヶ月後に成長度合いを評価する。必要に応じて追加の研修を計画する
- 教育システムを見直し、3ヵ月以内に新しいプログラムを導入する
- 働き方に対しての見直しを行い、前年度よりも離職率を○%下げる
- 安全に仕事ができるよう、頻発する「ヒヤリハット」事例や事故をもとに対応マニュアルを作成する
- 介護の事故件数を前年度の半分以下に減らす
- 職場内での業務に関するアンケートをとり、その内容をもとに半年以内にOJTシートの導入をする
【改善点がある例】
- 新人の教育体制を新しくする
- 新人職員と定期的に面接を行い、成長度合いを評価する
- 職員の離職率を減らす
- 介護の事故が起こさないように呼びかける
- 新たな教育体制を整備する
- 個人情報保護を徹底する
まとめ
介護職において個人目標を設定することは、自己成長やキャリアアップに非常に重要です。具体的な目標を立て、計画的に取り組むことで、毎日の勤務が充実し、より良い介護サービスを提供することができます。
また、個人目標を持つことで、業務に対するモチベーションが高まり、スキルの向上やキャリアパスの明確化にも繋がります。
目標管理シートを活用し、自分の成長を実感しながら、介護職としての充実したキャリアを築きましょう。
目標を達成するためには、定期的な自己評価と振り返りが重要です。自分の課題を明確にし、それに対する具体的な対策を考え、実行に移すように心がけてください。
達成度を自己評価することで、自分の成長を実感し、次なるステップに進む原動力となることでしょう。
この記事の著者
派遣のキャリアマルシェ_編集部
介護業界への転職・派遣に関する記事を制作・配信している編集部です。20年以上の介護施設運営歴のある弊社より、介護事業所で働く皆さんに役立つ情報を発信しています。
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