介護
投稿日:2024/07/09
更新日:2024/10/14
生活相談員に求められるスキルとは?必要な資格についても解説
目次
「生活相談員」という仕事をご存知ですか?
少子高齢化が進む中、介護保険制度や介護、福祉サービス等について気軽に相談できる窓口である生活相談員は、施設の利用者やご家族から相談を受け、援助へと繋げていくという大切な業務を担う存在です。
ケアマネジャーや医療、介護スタッフ、行政機関等と連携しながら、利用者の生活をサポートします。
この記事では、生活相談員の仕事内容や必要なスキル、資格要件、やりがいなどを挙げ、詳しく紹介します。
生活相談員の資格を生かして初めて就職や転職をしたいと考えている方、介護分野の試験勉強にも役に立つ内容です。ぜひ、参考になさって下さい。
生活相談員とは?
ここでは生活相談員の業務内容を紹介します。
主に施設を利用されている高齢者や障害者、そのご家族に向けて、介護や福祉サービスの相談援助を行います。
地域やコミュニティ、他職種、外部関係者と連携を取りながら、相談、援助計画の立案、実施、関係機関との連絡や調整、手続きが主な業務です。
場合によっては、現場で食事、入浴、レクリエーションなど、利用者へ直接生活援助業務を担うこともあります。
生活相談員の主な勤務先と配置基準とは?
<主な勤務先>
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム/特養)
・介護老人保健施設
・介護付き有料老人ホーム
・短期入所者生活介護施設(ショートステイ)
・通所介護施設(デイサービス)
・医療機関
・障害者施設
<配置基準>
介護老人福祉施設(特養) | 利用者100名に対して常勤1名以上 |
介護老人保健施設 | |
介護付き有料老人ホーム | |
デイサービス | 1名以上(1名以上は常勤必須) |
ショートステイ | 利用者100名に対して1名以上、うち1名は常勤 |
生活相談員は上記勤務先で相談・調整役として、利用者、ご家族、医療機関、行政機関、ケアマネジャー、医療従事者・介護士、ソーシャルワーカーなど幅広い人達とコミュニケーションを取ります。
介護現場での事務的役割とは?
ここでは、事務的役割について解説します。
利用者やご家族からの情報収集、資料作成と共有
施設利用において、事前に利用者やご家族から情報収集を行います。
生活歴、既往歴、ご要望や心配事の相談など詳細を記録し、すべての職種と共有します。
利用者やご家族への見学対応、方針・料金説明、書類作成
今後生活の場となる入居施設を、利用者やご家族へ見学していただきます。
方針、施設内の環境、料金、概要説明も具体的に行い、お互いの認識に相違が無いよう確認しながら対応していくことが大切です。
内容が了承されれば、契約書等の必要書類の記入をし契約を締結します。書類は他職種も閲覧し、常に情報共有できるよう管理します。個人情報の取り扱いには十分注意しましょう。
介護計画作成とモニタリングの実施
デイサービスでは、ケアプランに基づく「通所介護計画書」を利用者ごとに作成します。計画書にはこれまでの経緯、サービスの利用目的、利用者やご家族の希望、利用目標 やサービス内容等を記入します。
その計画書に基づきサービスを進め、定期的にモニタリングを実施。ご要望をお聞きし、必要があれば変更も行います。これらサービス提供においては、後に実施報告が義務づけられています。
利用者が体調不良のときの医療機関やご家族への連絡
利用者の体調不良時は、正確に状況を把握し、速やかに医療機関やご家族へ連絡します。必要があれば、救急搬送などの対応も行います。
日頃から利用者の体調に気を配り、緊急時のシュミレーションや訓練をしておくことが大切ですので、最新の連絡網を手元に置きましょう。
利用者の施設移動時のための記録と伝達
利用者の身体状況やご要望に応じて、他施設や病院へ移動するケースもあります。
移動先への申し送りを正確に行えるよう、日頃から利用者の身体・生活状況を把握し、記録しておきましょう。
他職種との信頼関係構築
利用者のケアには、同じ施設の職員とのコミュニケーションも大事ですが、同時に他職種同士との連携が大切です。
生活相談員は、利用者とサービス提供者とのコミュニケーションが円滑にとれるよう日頃 から関わり、悩みや意見、クレームへの対処法の確認など、スタッフ間の信頼関係を作っておきます。
ケアマネジャーとの違いとは?
生活相談員とケアマネジャーの業務内容にはどんな違いがあるのでしょうか?
生活相談員は、利用者やご家族との相談、連絡、調整を行います。
ケアマネジャーは介護や要支援の認定を受けた方のケアプラン作成やモニタリングを行い医療や介護と連携し、介護サービスへ繋げる役割を担います。
以下、一覧にまとめました。
生活相談員 | ケアマネジャー | |
職場 | 入所・通所型介護施設 | 居宅介護支援事業所 地域包括支援センター 入所・多機能型の介護施設 |
仕事内容 | 相談援助 関係各所との連絡、調整 介護サービスの説明 書類作成、クレーム対応 | ケアプラン作成 関係各所との連絡、調整 モニタリング、営業 サービス担当者会議実施 |
サービス対象者 | 介護施設の利用者、ご家族 | 介護保険サービス利用者 (要介護、要支援認定者) |
生活相談員に必要な資格とは?
ここでは、生活相談員に必要な資格について解説します。
厚生労働省の規定では「社会福祉法第19条1項のいずれかに該当する者と同等以上の能力を認められる者」(下記資格)についても生活相談員としての条件として認められるとしています。(国家資格ではありません。)
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・社会福祉主事任用資格
資格要件は自治体によって異なり、介護福祉士や介護支援専門員の資格や実務経験を持っていれば生活相談員として働くことができるところもあります。又、未経験でも資格のみで働ける自治体もあり、明確な範囲の基準はありません。
都道府県の各自治体ホームページを確認してみましょう。
生活相談員の勤務時間は?
職場にもよりますが、正社員ならば 9:00~18:00の勤務が多いようです。
これは、ご家族や関係機関と連絡を取る業務を行うためです。
生活相談員の給料は?
生活相談員の平均給与は、厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況調査結果」によると、平均給与額は321,080円、年収3,853,960円となります。
非常勤(パート)の平成30年度の平均時給は、1,070円となっています。
生活相談員に求められるスキルとは?
ここでは、生活相談員に求められる4つのスキルについて解説します。
コミュニケーション能力
生活相談員は、ご家族以外にも異なる職種(医師、看護師、ケアマネジャー、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護福祉士等)と連携します。
利用者に対する総合的理解のため、相談員として各関係者との柔軟なコミュニケーション能力が必要とされます。
利用者とご家族に対しては、相談内容を詳しく正確に理解することが大切です。
そして他職種へは、質問する力が問われます。
まず、相手の目を見てじっくり傾聴することが大切です。
必要な情報を正確に受け取るため、「聞き方」「伝え方」「言葉の選び方」「話すタイミング」「声のトーン、スピード」「表情」それぞれに気を配ります。相手が安心して話すことができる環境を作りましょう。
また、担当スタッフとスムーズにコミュニケーションを取るため、相手の仕事内容、働き方、考え方への深い理解も必要です。
相手から信頼される能力
相談援助をする上で大切なのは「信頼」です。
信頼される生活相談員で在るために、下記のことに気をつけましょう。
利用者の生活状況、言葉、本当の思いを正確に理解する
誤った理解と情報提供は不信感へ繋がる可能性があります。
情報収集時に不安があれば、納得するまで確認します。利用者とご家族との意見相違があれば、調整し改善しましょう。
優しく寄り添う姿勢が大切
利用者やご家族は、様々な不安を抱えています。
「しっかり話を聞いてくれて、一緒に考えてくれる。相談しても大丈夫。」という安心感を持ってもらうよう寄り添う姿勢を大切にします。
直ぐに不安やご要望、理由を言葉にできないこともあります。本当の思いは何なのかと優しく丁寧に引き出せるように関わることが大切です。
そのために、相手の言葉を「待つ」という視点も生活相談員には求められます。
利用者に合った必要な情報提供を心がける
利用者やご家族への情報提供の内容にミスマッチや正確性に欠けるものが無いか、常に確認しましょう。
まず、過去、現在の生活や身体状況、医療情報など、総合的に利用者を把握することが基本です。信頼関係を得ることを目指しましょう。相談者へは分かりやすく簡単な表現で伝えることを心がけます。
スピーディーな最新情報の提供を心がける
介護情報は、日々更新されます。
利用者やご家族へより良い最新情報をスピーディーに提供できるよう、他職種とコミュニケーションを取り協力します。
ニュースを確認したり、ぜひ積極的に研修やコミュニティへ参加して自身のアップデートに努めましょう。
臨機応変に判断する能力
利用者が急に体調、状況変化を起こした際、新たな相談やケアプラン変更への対応を求められます。生活相談員は、利用者の日々の体調や生活の変化をチェックし、臨機応変に判断できるようにしましょう。
そのためには、日頃から他職種とコミュニケーションを密に取り、信頼関係を築いておくことが大切です。
報連相が適切にできる能力
相談援助業務には利用者、ご家族、他職種との連携、信頼関係が必要です。
そのために、相互の「報連相」を心がけましょう。
報:報告しよう
連:連絡しよう
相:相談しよう
適切に、スピーディーにわかりやすい内容で報告ができるように意識して対応しましょう。
生活相談員に向いている人とは?
ここでは、生活相談員に向いている人の6つの要素を挙げて解説します。
じっくりと話を聴き「待つこと」ができる人
利用者やご家族は、「何に困っているのか」「なぜ、不安なのか」と気持ちや質問を整理できないでいる場合があります。
言葉にするまでに時間がかかり、次の行動に移すことができません。制度や介護情報への理解や情報量が不十分なために、質問や決断ができかねているケースもあります。
まずは、ペースを合わせじっくり話を聴くこと。焦らず、相手の言葉を「待つ」傾聴の技術が必要です。時間がかかるからと結論を急いだり、対応方法を強要しないよう気をつけましょう。
本当の思いを言葉にして頂けるよう、信じて待ちましょう。
総合的に利用者を把握できる人
先入観で利用者やご家族を見ると、誤った対応へと繋がります。
生活歴や既往歴、身体、生活状況を正確に知り、総合的に利用者を把握できるようになることが重要です。
コミュニケーション能力が高い人
相談援助には利用者、ご家族、他職種との連携が大事なポイントです。
調整のためには、相手の立場や置かれている状況を判断して発言したり、緊急度や重要度に応じて話す順序を変えたりするなど、高いコミュニケーション能力が求められます。
適切な距離感を保てる人
「利用者のために」と必要以上に近い関係性や感情は不要です。
適切な距離を保ち、客観的に相手を理解して接しましょう。
責任感がある人
生活相談員は困っている人に寄り添い支える仕事です。
どう不安を軽減し生きる意欲を高めて頂けるよう支援していくかと考える、強い責任感が求められます。相手の立場に立ち、問題を解決するために働くことが大切です。
制度や介護サービスに詳しい人
制度や介護サービスは、定期的に更新されます。
一人暮らしの高齢者や、身寄りの無い利用者へ情報が届き難いことが心配されます。
利用者が安心して生活できるよう、生活相談員からの役立つ情報提供は欠かせません。
生活相談員として就職、転職するメリット・魅力とは?
ここでは、生活相談員として就職、転職するメリットや魅力を解説します。
キャリアアップに繋がる
生活相談員として知識を得て、経験を積むことで、「介護支援専門員の資格取得」や施設長として「施設・事業所の管理や運営を行う」という選択肢もあります。
介護や福祉業界での相談、援助の経験という特徴を生かしてキャリアアップを目指すことも可能です。
一般的に平均給与は生活相談員より高く、広範囲且つ、専門的な業務を担います。
公開されている求人情報やサイト、関連メディアは多くありますので、検索しあなたに合う情報を見定め、資格取得をおすすめします。
生活相談員としてのやりがい
利用者の生活が改善したり、他職種からの信頼を感じた際はやりがいを感じることでしょう。「ありがとう。」という言葉を頂けるお仕事であり大きな魅力です。
まとめ
少子高齢化が進み、一人暮らしの高齢者や障害者が増えています。
コミュニケーション手段もSNSが主流となり、自らスマホやパソコンを使って情報を得なければならない生活へと変化しています。
体力が低下していく高齢者や障害者にとって、この環境へ遅れずに対応し続けることは大変難しいでしょう。
生活と健康を維持し安心して生きていくため、相談や援助を受けることができる環境は必要不可欠です。生活相談員は、正にその業務を担います。
主な仕事は「相談、連絡、調整」ですが、これにより多くの利用者が不安を軽減でき、安心した生活へとつながるでしょう。
業務内容は多岐にわたりさまざまな苦労やストレスがあるかもしれませんが、これから益々社会的に必要とされ、やりがいを持って活躍できる魅力ある職としてあり続けるでしょう。
この記事の著者
派遣のキャリアマルシェ_編集部
介護業界への転職・派遣に関する記事を制作・配信している編集部です。20年以上の介護施設運営歴のある弊社より、介護事業所で働く皆さんに役立つ情報を発信しています。
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