転職
投稿日:2024/04/18
更新日:2024/10/14
腰痛で転職や退職を考える介護士は多い?負担を掛けない対策法や働く選択肢について紹介
目次
介護業務をこなす中で、腰痛を抱えてつらいと感じ「向いてないのかな?」と、このまま介護士を続けるかどうか悩んだ経験をしたことはありませんか?
実際に介護の仕事では、移乗介助やトイレ介助、オムツ介助、入浴介助など、腰への負担がかかる介護業務を日常的に行います。そのため、腰痛に悩む介護職は少なくありません。
本記事では、腰痛の対策法や、腰に負担をかけない働き方についてお役立ちいただけるよう解説します。
介護職で腰痛を持っている人はどれくらい?
令和元年度に行われた「介護労働実態調査」によると、介護職の29.5%が「身体的負担が大きい」と回答しています。
介護職は移乗介助やトイレ介助、オムツ介助、入浴介助など、腰に負担がかかる介護業務を日常的に行うため、身体的負担や腰痛に悩みやすい傾向にあります。
また、介護業界全体が抱える人手不足が原因で、高齢者を支える介護職1人当たりの業務負担が増えていることが実情です。
・参照元:介護労働安定センター「令和元年度 介護労働実態調査」
また、介護施設に勤務する介護職を対象とした腰痛に関する研究報告では、74.7%の介護職が「腰痛をかかえている」と回答しました。
男女別では、男性介護職の70.9%・女性介護職の76.5%が腰痛をかかえながら仕事をしているという状況です。
・参照元:日本介護福祉士会「介護福祉士の腰痛に関する研究ー勤務年数4群からの検討ー」
介護職の多くが悩んでいる腰痛は、仕事をするうえで大きな問題となります。
転職や退職理由に十分なりうる
介護職として働いている方の多くが、腰痛に悩まされています。
職業病として腰痛があまりにもひどく、介護業務に支障をきたす場合は、介護士の仕事を辞めて別業界・別業種への転職を選ぶという方も少なくありません。
そもそも、なぜ介護職は腰痛を引き起こしやすいのでしょうか?介護職が腰痛を発症させる要因は、以下の一覧の通りです。
・介護職員が利用者様をかかえる際に、中腰の姿勢をとるため腰に負担がかかりやすいため
・夜勤を含む不規則勤務により、身体的な疲労が蓄積されやすいため
・立ち仕事のため、座って休憩をとる時間が極端に少ないため
・夜勤の休憩時間で菓子パンやカップラーメン等を食べることで、肥満になりやすく、 腰椎に負担がかかりやすくなるため
これらの要因は、介護の仕事を続けている限り、なかなか解決することができません。
そういった腰痛での痛みや苦痛、腰痛の根本的な要因を取り除くために、やりがいや人間関係の良い職場であったとしても、結果的に退職や転職を選ぶケースも少なくありません。
介護職の「腰痛」は、立派な転職理由・退職理由として成り立つのです。
少しの工夫で腰痛対策を!
介護職の腰痛予防や腰痛対策は、介護業務を行いながらでも取り組むことができます。
腰痛を予防したり、腰痛の悪化を防いだりするためにも、「ボディメカニクス」を意識して業務内容を見直し、考えることが重要です。
また、仕事終わりや休日にストレッチをする習慣をつけることで、腰痛を和らげることができます。
ここからは、仕事中や仕事終わり、休日などに取り組める腰痛対策を4つご紹介します。
移乗介助のとき
介護の仕事では、介助が必要な利用者様をベッドや車いすから移乗する作業が多くあります。
ベッドと車椅子間の移乗介助では、利用者様を抱きかかえて持ち上げようとする介護職が多くいます。
しかし、抱きかかえて持ち上げる動作をすることで、腰痛やギックリ腰を起こしてしまう可能性があるため、注意が必要です。
移乗介助では、利用者様を持ち上げるのは難しいのに腰に負担をかかってしまうので、太ももや体幹などの大きな筋群を活用することが重要です。
腰や背筋は真っすぐなまま、膝を曲げて腰を下ろした状態で利用者様と同じ視線の高さになるようにします。
利用者様には前かがみの姿勢になってもらいながら、介護職は太ももの筋肉を使って移乗介助することで、太ももの筋肉のストレッチにつながります。
利用者様へ介助の前に今から何をするのか声をかけて利用者様の協力を得られると無理に力をかけなくてもよい場合もあります。
トイレ介助・オムツ介助のとき
トイレ介助やオムツ介助といった排泄ケアの時、中腰の姿勢で介助をしている介護職が多くいます。
しかし、中腰の姿勢をずっと続けていると、姿勢を維持するために無理な力がかかってしまい腰痛を引き起こす要因となります。
トイレ介助をする際は、できる限り背筋を真っすぐな状態に保ったまま、車椅子と便座の距離を近づけてスムーズに移乗することが負担を軽減するコツです。
また、オムツ介助では、面倒でも必ず介護用ベッドを自分の腰の高さになるよう、調節しましょう。
もし布団でオムツ介助を行うことがあったら、正座をして背筋を真っすぐに保った状態で介助を行います。
トイレ介助・オムツ介助での「背筋を伸ばす」という意識は、背筋のストレッチと腰痛予防につながります。
入浴介助・更衣介助のとき
入浴介助や更衣介助でも同じように、中腰の姿勢になり、腰を曲げた状態で介助をしている介護職が多くいます。
しかし、中腰の姿勢や腰を曲げた姿勢を長く続けていると、腰痛の原因になりかねません。
また、床が滑りやすい浴室では、腰を曲げた状態で介助をしていると、介護職自身がバランスを崩して尻もちをつくかもしれない危険性もあります。
入浴介助や更衣介助の時は、腰ではなく腹筋や臀部の筋肉を使うことを意識してみましょう。
腰はできるだけ曲げず、真っすぐな姿勢を保ち、腹筋や臀部の筋肉に力を入れて利用者様を支えることで、必要な介助支援を行うことがポイントです。
以上で説明した体幹や背筋、腹筋、臀部の筋肉など、全身の筋肉を活用することを意識することが重要です。
ストレッチや体のメンテナンスをいつも意識する
勤務時間の終わった後や休憩時間、休日など、ストレッチをする習慣を身につけることで腰痛を予防することができます。未経験の方であれば、特に初めての勤務の後は体が疲れたという感覚が分かるかと思います。
背筋や腹筋などの筋トレと、しっかり身体を伸ばすヨガストレッチを合わせて行うことがオススメです。
また、普段介護記録を入力する際に猫背になったり、介助中に中腰になったりする方は、背筋を伸ばすストレッチを重点的に行うことが大切です。
しかし、無理したり、一気に身体を動かしたりしてしまうと腰痛が悪化する可能性があるため、無理せずに少しずつ、継続的に続けることをおすすめします。
腰痛の負担がかかりづらい施設形態は?
腰痛があまりにもひどく、仕事中に激痛を感じたり、介護業務に支障が出たりする際は、無理せずに転職や部署異動を検討することも大切です。
1つの法人内に複数の介護施設や介護事業所が併設されている職場では、腰痛の負担がかかりづらい施設形態になら部署異動することもできます。
ここからは、腰痛の負担がかかりづらいそのほかの施設形態としてどんなものがあるか3つご紹介します。
デイサービス
デイサービスは、普段在宅生活を送っている利用者様が日中のみ通所し、介護サービスを受けるタイプの介護事業所です。
夜勤がないため体力的な負担が少ないだけでなく、夜勤中の間食により、肥満になることはありません。
また、自立している利用者様が中心のため、介護度が高い方が入居する介護施設よりも体力的・身体的な負担が少ないことが特徴です。
グループホーム
グループホームは、「認知症」の診断を受けた利用者様が入居する介護施設です。
認知症の悪化や進行を予防するため、簡単な調理や洗濯、掃除などの家事を利用者様と一緒に行います。
そのため、腰痛の負担が多い身体介護よりも、利用者様の生活を支える生活援助がメインであることが特徴です。
身体介護がメインの介護施設に比べ、身体的・体力的な負担が少ないというメリットがあります。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームとは、自立している利用者様が入居するシニアハウスです。
他にも、サービス付き高齢者向け住宅や軽費老人ホーム(ケアハウス)なども、自立している利用者様が入居するシニアハウスとして運営しています。
必要な身体介護や生活援助のみ、デイサービスや訪問介護サービスを利用するため、介護施設に比べて介護職の負担が少ないことが特徴です。
他の職種を試してみるという選択肢も
腰痛の負担がかかりづらいデイサービスやグループホーム、住宅型有料老人ホームに転職しても、完全に身体介護を断ることはできません。
介護施設と比べると負担は少ないですが、移乗介助や入浴介助、トイレ介助などの身体介護をお願いされることもあります。
腰痛がつらく、少しの身体介護でも負担を感じる方は、思い切って他の職種にキャリアチェンジすることもオススメです。
ここからは、腰痛に悩む介護職のキャリアチェンジにオススメの他の職種をご紹介します。
介護タクシー
介護タクシーとは、自力での移動が困難な要介護高齢者が、通院や役所での手続きなど、社会生活上必要な外出をするために利用するタクシーのことです。
要介護1〜5と判定された方や、車椅子・リクライニング車椅子などを使用している方など、一般的な自動車や公共交通機関での移動が困難な方が対象です。
介護度が高い方の移動介助と聞くと負担が大きいイメージを持つ方も多いと思いますが、介護タクシー運転手の身体的な負担はほとんどありません。
車椅子やストレッチャーで乗車できるように工夫された特別仕様の福祉車両を使用するため、操作方法を覚えると簡単に行うことができます。
また、目的地への移動介助を行う場合もありますが、移乗介助や入浴介助などの身体介護に比べると、少ない負担で介助することが可能です。
介護事務や生活相談員
介護事務や生活相談員は、来客対応や事務業務、利用者様やご家族の方の相談対応が主な業務です。
そのため、身体介護を行う機会はほぼありません。しかし、勤務先の介護施設・介護事業所によっては、介護職が行う介護業務と兼業することが求められる可能性もあります。
確実に身体介護を避けて働きたい場合は、就労前に事前に採用担当者に確認することが重要です。
介護事務は無資格でも就くことができる職種ですが、介護保険制度や介護報酬請求(レセプト作成)に関する知識が必要です。
また、生活相談員として働くための要件は明確には定められていませんが、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を必要とする場合もあります。
腰痛や身体的な負担なく働けることがメリットですが、それぞれの仕事に必要な知識を身につけたり、資格を取得したりする必要があります。
特に、無資格でも働くことができ、レセプト業務などの事務業務がメインの介護事務は大変人気の職種です。
介護職に比べて掲載されている求人数が少ないうえ、応募者が多いため、不採用になってしまう可能性が高いです。
介護事務として働くことを強く希望する方には、「介護事務認定実務者」などの民間資格を取得することも選択肢としていいでしょう。
ケアマネジャーや管理者
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、利用者様の介護サービス利用開始をサポートしたり、介護サービス利用開始後のモニタリングを行ったりする職種です。
また、利用者様一人ひとりの身体機能や健康状態、ニーズに応じたケアプランの作成を行います。
事務作業や利用者様とのコミュニケーションがメイン業務のため、身体介護を担うことはほぼありません。
しかし、勤務先の介護施設・介護事業所によっては、介護職が行う介護業務と兼業することが求められる可能性もあります。腰痛により身体介護を避けたい方は、面接時などにその旨を勤務先に伝えておくことが重要です。
また、施設管理者に昇進し従事することで、介護現場での身体介護を担う機会が減ります。
施設管理者・責任者は、利用者様の情報管理やスタッフの勤怠管理、備品管理など、介護施設・介護事業所の運営に関わる業務を全般的に担います。
腰への負担となる身体介護を担う機会はほとんどありませんが、担当する業務量が多いことが特徴です。その分、給料も高くなるため、施設管理者は給料アップを目指している介護職のキャリアアップにオススメの職種です。
ケアマネジャーになるには、社会福祉士・介護福祉士としての5年以上の実務経験を通じ介護支援専門員の専門資格を取得する必要がありますが、施設管理者の資格要件は明確に定められていません。
勤務先の介護施設・介護事業所によっては施設管理者向けの研修会を用意している場合もあります。ケアマネジャーや施設管理者へのキャリアチェンジに興味がある方は、勤め先の上司にご相談ください。
まとめ
介護施設・介護事業所で働く介護職の7割近くは、腰痛をかかえながら介護業務を行っているという現状です。
介護を行う環境が整備されていない場合、無理な姿勢をとることになり、その結果、腰痛を引き起こしてしまう場合もあります。
介護士の腰痛の問題は大きく、各介護施設・介護事業所では、介護職の腰痛予防に対する取り組みとして、ストレッチの推進や介護リフトの導入などを行っています。
しかし、まだまだ介護職の腰痛の予防・改善につながっていません。また、介護職の腰痛の原因は、単なる腰への負担だけではありません。
ストレスによる過食や睡眠不足、疲労の蓄積も腰痛の原因になりかねないのです。
できる限り、心身ともに負担なく働ける職場に転職し日々のストレスを取ることを考えている方は、是非無料で登録できる介護転職サイト等を利用してみてください。
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自分の体とライフスタイルに合った転職先を探すことができるよう、ぜひ参考にしていきましょう。
この記事の著者
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