派遣
投稿日:2024/06/20
更新日:2024/10/14
介護派遣のあるあるを紹介!向いている人やトラブル対処法も知っておこう
目次
介護派遣には、「就職しやすい」「残業が少ない」などさまざまな利点があり、敢えて正社員でなく介護派遣として働く方もいます。介護派遣として雇用されると、正社員とは扱いが違うこともあるため、その違いをよく理解しておくことがポイントです。
しかし、介護派遣ならではの辛さやトラブルもあり、合わない人が介護派遣を選び続けると苦痛の毎日ともなりかねません。例えば、求人情報の確認が難しい場合や、出勤時にストレスが高いことがあります。
介護派遣の実情や職場での「あるある」について解説します。介護派遣の利用にはメリットもデメリットもありますが、基本的な勤務条件やコミュニケーションの取り方について知っておくことが大切です。サービス内容やお仕事関連の問題に対応するためのコツや、安心して続けられるためのポイントを押さえておきましょう。
介護派遣としての働き方
介護派遣としての勤務形態は、「介護派遣」と呼ばれます。介護派遣では、正社員・アルバイト・パートの介護士と異なり、派遣先企業(介護施設)に直接雇用されるのではなく、人材派遣会社に登録し、派遣会社側に雇用されます。その上で、派遣先企業に派遣され、日々、派遣先の介護士たちと共に働くことになります。
介護派遣の特徴
• 雇用契約は派遣会社と結ぶ
• 給料、福利厚生、社会保険等は派遣会社のものが適用される
• 仕事上の指示や命令は派遣先企業から受ける(指揮命令関係)
派遣会社に登録すると、派遣会社の担当スタッフが、本人の希望も踏まえた上で派遣先の介護施設を探してくれます。
派遣先が決まったら、派遣契約期間中(最短31日~最長3年)、派遣先の施設で働き続けることになります。
仕事の指示は他の正社員・アルバイト・パートの人たちと同じように、派遣先の施設の職員から受けます。業務上の相談や質問なども派遣先の職員に聞くことができます。
一方、給料や福利厚生などは所属している派遣会社のものが適用されるため、雇用条件面の相談や問い合わせは派遣会社側にする形になります。
また派遣会社は、本人と派遣先企業の「架け橋」となり、困ったときに支えてくれる存在でもあります。
派遣先の業務や環境に不安や悩みがある場合は、派遣会社の担当スタッフが相談に乗ってくれます。必要に応じて、派遣先に改善の提案や、派遣先の変更をしてもらえることもあります。
介護派遣のあるある
介護派遣の場合、正社員とは置かれている立場が異なり、特有の悩みや苦労を抱えることがあります。ここでは介護派遣の介護士ならではのお悩み「あるある」を紹介しますので、転職をする前にどのような大変さがあるのかを把握しておきましょう。
紹介内容と実際の業務に相違がある
派遣業務では、「就業条件明示書」等で行う仕事の範囲を決めた上で派遣先へ紹介されます。そのため、定められた範囲の業務のみ行うのが本来の在り方であり、正社員のようにオールマイティに対応しなければならない訳ではありません。
しかし実際は紹介内容の範囲外となる仕事を任されることも多く、「専門的な業務を依頼された」「排泄介助など経験の少ない業務を依頼された」「早出や夜勤のお願いされた」といったこともあります。
介護業界は慢性的な人手不足を抱えており、手が回らない状況の現場も少なくありません。マンパワーが足りていない現場では、派遣社員だからといっておられず、止むを得ず範囲外の業務をするケースもあるのです。
職場によっては、正社員と同等、もしくはそれ以上の業務を任されてしまうこともあり、「それならば待遇の良い正社員で働いたほうがよかったのでは?」と思い悩む人もいます。
特に2024年に入ると、キャリアアップや無資格からの資格取得を目指す人たちの間で、派遣業務の実態についての話が増えました。派遣先の雰囲気や利用者との相性、担当者の指導徹底や仕事内容の種類など、比較しやすい一覧などを事前に確認しておき実際の業務とのずれをなるべく減らしておきましょう。
また、看護師など専門職との業務の違いや手間のかかる部分についても注意が必要です。初めての派遣業務であれば、特に指導徹底が求められますし、派遣先としっかりとした話し合いを行うことが重要です。
良い環境での派遣業務はキャリアアップにも繋がりますが、そうでない場合は大きなストレスを抱えることにもなりかねません。
派遣会社からの連絡が返ってこない
派遣の業務に悩みや要望がある場合、派遣会社の担当スタッフにメールや電話で相談することができます。しかし「気軽に相談してください」と言われても、「返答が来ない」「無視される」ことが多く、派遣ならではの問題です。
派遣会社のスタッフにもさまざまな性格の人がおり、親身になってキャリアをサポートしてくれる人もいれば、疎遠になる人もいます。
担当人数や仕事量によって応対の丁寧さが変わるため、乱雑な扱いが続く場合は派遣会社の変更を検討することも大切です。担当者同士の相性や雰囲気が重要で、初めての利用者にも安心できる環境が求められます。
特に、看護師などの資格が必要な職種では、キャリアアップや実務指導が重要なため、担当者のサポートの質が大きな部分を占めます。同じ派遣会社でも担当者によって対応が違うため、注意が必要です。
現場で研修や引継ぎがほとんどない
労働者派遣法上の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」が2020年4月1日に適用され、派遣社員に対し教育訓練を実施することが、派遣先企業の「義務」となりました。
とはいえ、派遣社員に対して研修を実施していない介護施設もまだまだたくさん存在するようです。
特に人手不足を抱えている介護施設などでは、「十分な導入研修を行わずに現場に立たせる」「前任者からの引継ぎがないまま仕事を丸投げされる」といったケースも少なくありません。
例えば、訪問介護や有料老人ホームなどの施設で、無資格の派遣社員が現場に立たされることもあります。このような場合、即戦力として期待されるものの、実際には十分なスキルや知識を持っていないため、適応しにくい状況となりがちです。
その結果、仕事に対するストレスが増大し、最悪の場合、退職に至るケースもあります。
派遣社員に研修が不十分な状態で業務を一度に任せてしまうような施設は、当然教育訓練や研修の実施という点で課題があるでしょう。
社員に対する教育の実施を運営にとって重要と考える施設では、無料の研修プログラムや派遣社員のスキルアップを図ることも有りますので、事前に派遣会社ともやり取りを重ねておきましょう。
正社員の人とそりが合わない
正社員と派遣社員は、置かれている立場の違いから、そりが合わず、特有のイザコザが生じることも少なくありません。
例えば、訪問介護や有料老人ホームなどの現場で、派遣社員であれば何も言っても文句はいわないだろうと高をくくり、パワハラやセクハラを行う正社員もおり、イジメのような状態になることもあります。無資格の派遣社員が1人で現場に立たされ、適応しにくい状況に置かれる事例もあります。
また、介護の仕事では、実務経験、人柄、体力などが求められるため、新卒で入った経験の浅い正社員よりも、ベテランの派遣社員のほうが現場で活躍するケースも多いです。
とはいえ、自分より活躍している派遣社員を見て不満を感じる正社員もおり、嫌がらせや暴言を吐くこともあるのです。このような環境では、派遣社員がストレスを感じ、退職に至る流れになることもあります。
周りから給与について聞かれることも
介護職は低賃金といわれることが多く、さらに派遣社員の場合はボーナスもないため、正社員の介護士以上に収入面で心配されがちです。
集計データとしても、派遣の介護士の収入が低いことが判明しています。株式会社リクルートジョブズジョブズリサーチセンターが集計した「2024年3月度 派遣スタッフ募集時平均時給調査」によれば、三大都市圏 全体の派遣社員平均時給が1,635円であるのに対し、介護スタッフ・介護福祉士の派遣社員の平均時給は1,442円となり、全体平均よりもやや低いことがうかがえます。
周囲から「給料はどれくらい貰っているの」「介護業界の派遣で生計は立てられるの」などと心配されることもあり、回答に困ってしまうことも、介護派遣ならではのあるあるです。
労働環境が整っていない
近年、介護施設数は急増しており、数が増えた分、以下のように労働環境が十分に整っていない施設や事業所も目立つようになりました。
労働環境が整っていない介護施設の例:
・就業規則が十分に定まっていない
・労働時間が管理されていない(長時間労働、サービス残業が当たり前など)
・安全衛生が管理されていない(ストレスチェックがない、過重労働防止の取り組みがないなど)
・派遣業務に関する法律の知識がない
・派遣社員の扱い方の知識がない
など規模の小さい事業所ほど労働環境が整備されていないことが多く、独自のルールがまかり通っていることもあります。そうした環境に派遣されると、もともと立場の弱くなりやすい派遣社員は、余計に苦労をしやすいのです。
慣れてきたころには契約が終了となる
労働者派遣法により、派遣社員が同じ事業所、同じ部署で働ける期間は、最長で原則3年までと定められています。
いわゆる「派遣3年ルール」と呼ばれており、ちょうど職場に慣れてきた頃に、法律の定めで契約終了となり、別の派遣先を探すことになるのも、介護派遣ならではのあるあるです。
派遣先に気に入られた場合などには、派遣先企業と派遣社員双方の同意により、直接雇用に切り替えられることもありますが、人員の空きなども関係し必ず直接雇用になる保証はないため、3年後に職場を去ることを意識しながら働かなければなりません。
また、一定期間後に正社員や契約社員として雇用されることを前提として働ける「紹介型派遣」という派遣形態も存在しますが、こちらも100%確実に正社員となれるわけではありません。
介護派遣に向いている人
介護派遣には向き・不向きがあります。介護派遣だからこそイキイキと働けている人もいれば、日々不満を感じ、正社員にすればよかったと後悔する方もいます。
特に介護派遣が向いているのは、「柔軟に立ち回りができる人」と「派遣と割り切っている人」です。この2つの性格的特徴を持っている人は、介護派遣が長続きしやすい傾向がみられます。以降ではそれぞれの特徴を深堀します。
柔軟に立ち回りができる人
介護派遣の場合、派遣契約期間が満了すると、次の介護施設に移ることになります。定期的に職場が変わり、新しい施設のルールや人間関係に溶け込んでいく必要があるため、新しい環境に臆せず、柔軟に立ち回りができる方、頭の柔らかい方が向いています。
特に未経験の方でも、職場が変わることで新鮮さを感じたり、いろいろな施設が見られて経験になるため、介護派遣の立場を利点として捉え、イキイキと働いている方も少なくありません。
また、介護派遣の仕事にはデイサービスの現場も含まれ、多様な経験を積むことで、将来の可能性が広がるというメリットがあります。
1人ひとりに合わせたケアが求められるため、柔軟に対応する能力が重要です。職場が変わるたびに新しい管理職の下で働くことになるため、悪い点を見逃さず、責任感を持って業務に取り組む姿勢が評価されます。
選ぶ施設によって事情が異なるため、各施設のルールや対策を把握し、最適な働き方を見つけることも大切でしょう。特に看護スタッフとの連携が重要で、教えをもらうことも多いです。任せられる仕事に責任を持ち、評価されるような働き方を心掛けることが、長期的にどんな職場でも活躍できる人の特徴です。
派遣と割り切っている人
介護派遣は非正規雇用となるため、正社員の介護士と比べ、給料、福利厚生、安定性などの面で不利になりやすいです。
そのため堅実に考える人の場合、不満や不安が生じることもありますが、一方で割り切って合理的に考えられる人の場合は、正社員よりも介護派遣の方が満足して働けることがあります。
例えば、「正社員より給料は低いけれど残業が少ないため介護派遣のほうが嬉しい」「正社員のように無期雇用の立場は求めておらず、一つの場所にとどまりたくないので派遣として働いている」のように、自分ならではのこだわりがあり、割り切って考えられる人は介護派遣が向いているでしょう。
未経験から介護業界に入る人も多く、特にデイサービスなどでは未経験者を歓迎するところもあります。こうした施設では、未経験者でも教えをもらうことができ、安心して仕事を始められます。
これから派遣介護の仕事を考えている人にとっては、派遣として様々な施設で経験を積むことができる点を魅力と捉えると、休みの取りやすさや福利厚生の充実度など、自分の生活スタイルに合わせて選べるという点も含め、満足度の高い働き方が実現できるでしょう。
トラブルに対する対処法
介護派遣として働いていると、理不尽な要求をされる、トラブルに巻き込まれるといったことも少なくありません。ここでは介護派遣の仕事での代表的なトラブルとその対象方法について解説します。
有給が取得できない状況になったとき
労働基準法により、派遣社員であっても定められた分の有給は本人の意思で消化することができます。派遣先企業や派遣会社が、有給の取得を禁止することは法律で禁止されています(ただし業務の状況などによっては、時季変更の調整が認められることもあります)。これは未経験の職種であっても同様です。
もしも派遣先で有給の取得を拒否された場合には、違法となるため、まずは派遣会社の担当スタッフに相談しましょう。
担当スタッフが派遣会社側の責任者と会話をし、調整をしてくれます。特に、看護やデイサービスのような業務であっても、労働者の権利は守られるべきです。
なお、「派遣会社の担当スタッフが調整をしてくれない」「派遣先が何をいっても有給取得を認めてくれない」といった場合には、労働基準監督署に相談するのも一つの解決法となります。このような対策を講じることは、管理職の責任でもあります。
契約に無いサービス残業を求められたとき
正社員、派遣社員問わず、残業をした場合には残業代を必ず受け取れる権利があり、サービス残業は原則として違法となります。
また、派遣社員の残業ルールは、派遣先企業ではなく、派遣会社との契約に基づきます。たとえば派遣会社との雇用契約書に「残業はしない」と記載されている上で派遣されている派遣社員には、派遣先企業は残業をさせることが一切できなくなります。
もしも、サービス残業や契約にない残業を強要された場合は違法行為となるため、まずは派遣会社の担当スタッフに相談し、解決できない場合には労働基準監督署にも助けを求めましょう。
また、以下のようなサービス残業があった証拠を揃えておきましょう。改善のための交渉や残業代請求をする場合などに役立ちます。
サービス残業の証拠となるもの:
・タイムカード
・日報
・出勤簿
・web打刻ソフトのスクリーンショット
・残業を指示する書面・メール
など
パワハラなどのハラスメントがあったとき
派遣社員はパワハラやモラハラのターゲットとなることもあり、それらが原因でうつ病になってしまう方もいます。
パワハラがあった場合、慰謝料を請求できることもありますので、まずはその事実をしっかりと証拠として残しておくことが大切です。
ボイスレコーダーでパワハラ発言を録音する、パワハラを受けた場所や日時、内容などをメモするなどして、記録として残しておきます。
また、パワハラをした相手に一人で立ち向かったり、反発をしたりすると、逆に事態を余計に悪化させてしまうことがあります。
そのためパワハラは一人で悩まず、以下のような所へ相談し、第三者からサポートをうけながら解決を進めたいところです。
派遣社員のパワハラに関する主な相談先:
・派遣会社の担当スタッフ
・労働基準監督署内の「総合労働相談コーナー」
・厚生労働省委託の「労働条件相談ホットライン」
・法務省の「みんなの人権110番」
など相談がしやすいのは、派遣会社の担当スタッフとなりますが、派遣会社の担当スタッフはハラスメントやメンタルケアの専門家ではないため、十分な判断やフォローができないこともあります。
担当スタッフでは力不足を感じる場合には、上記の総合労働相談コーナーや労働条件相談ホットライン等の専門窓口に相談し、パワハラの専門家の対応も仰ぎたいところです。
仕事を探す際は介護に特化した会社を選ぶ
派遣会社には、業界や業種問わず幅広い案件を扱っているタイプの派遣会社もあれば、介護に特化したタイプの派遣会社もあります。
どちらであっても介護派遣の仕事を探すことができますが、未経験の方に特におすすめなのは後者の介護に特化したタイプの派遣会社です。
介護に特化したタイプの派遣会社がおすすめである理由として、以下が挙げられます。
・専門である分、取り扱っている介護系の派遣案件が多い
・介護業界への理解が高く、介護スキルにあった最適な派遣先を探してくれる
・悩みの相談やアフターフォローも介護業界に精通している分心強い
・介護系資格の取得支援制度が用意されていることがある(介護職員初任者研修など)
・未経験でも丁寧に教えてもらうことができる
介護業界は専門的な業界であることもあり、介護に特化し介護について理解の深い派遣会社に登録した方が、ミスマッチが減り、最適な派遣先を見つけやすいのです。
特に未経験の場合、介護に特化した派遣会社は、看護やデイサービスなど幅広い案件に対応していることが多く、1人1人の事情に合わせて選べる可能性が高いです。
まとめ
以上、介護派遣ならではのあるあるやトラブルについて解説しました。
今回紹介したように、介護派遣には正社員とはまた違った苦労やしがらみがあり、パワハラやモラハラなどのトラブルに巻き込まれやすい立場でもあります。
一方で一つの介護施設に縛られない介護派遣には、正社員とはまた違った特有のメリットや特有の働きやすさもあり、介護派遣だからこそイキイキとした毎日を過ごせている方もいます。一長一短となるため、性格的にどちらが向いているか、何に重きを置くかなどをよく自己分析した上で選択したいところです。
例えば、介護派遣の利用にはいくつかの難しいポイントがあり、求人の検索や選び方に時間がかかることもあります。
2024年の最新情報に基づく人気のある求人を確認し、安心して働くことができるようにそういったポイントをおさえておくことが大切です。
また、勤務先ごとにサービス内容や職種が違うため、コミュニケーションを通じて問題を伝え、デメリットを把握しておく必要があります。
サイトによってはランキングが掲載されているので、更新された内容を参考にし、仕事関連の情報を提供してもらえれば、探す手間におけるストレスを減らすことができます。
またこれから介護派遣を選ぶ際の注意点としては、介護派遣会社の評価やアフターフォローの充実度、資格取得支援の有無、休みや責任の取り方などをしっかりと確認することが重要です。
派遣先の管理職やデイサービスの事情なども把握し、自分に合うかどうかを見極めることも大切です。未経験の方でも、自分に合う派遣先を見つけるために、これらの点を注意深く対策しながら選びましょう。
この記事の著者
派遣のキャリアマルシェ_編集部
介護業界への転職・派遣に関する記事を制作・配信している編集部です。20年以上の介護施設運営歴のある弊社より、介護事業所で働く皆さんに役立つ情報を発信しています。
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