介護
投稿日:2024/07/11
更新日:2024/10/14
介護職員初任者研修を取得すると給料はどのくらいになる?
目次
介護業界では、介護・福祉に関わる資格の有無によって給与が大きく変わります。無資格・未経験でも介護の仕事に従事することは可能ですが、無資格者ができる業務は限られています。
介護の仕事に従事しながら、段階的に介護系の資格を取得してキャリアアップを図るのが一般的ですが、それ以前に、介護職員初任者研修(以下、初任者研修)の資格を取得することで、給料や手取りがどのくらい変わるのでしょうか?
この記事では、初任者研修を取得した場合の給与の変化、無資格者との給与差、給料をアップするポイント、キャリアアップのコツについて詳しく解説します。初任者研修の取得を検討している方、給料アップに関心がある方はぜひ参考にしてください。
介護職員初任者研修取得者の給与の平均
初任者研修は介護職の入門資格で、食事や入浴、排せつの介助や生活援助などの基礎的な知識とスキルを学びます。介護未経験で知識やスキルがない方は、初任者研修から受講するのが一般的です。
介護施設や事業所に転職した後から、初任者研修を取得することも可能ですが、それ以前に初任者研修の資格を取得していると、就職や転職で有利になり、無資格者と比べると高い初任給からスタートすることができます
平均給与
初任者研修を取得すると、平均給与はどのくらいになるのでしょうか?
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、令和4年度12月時点における初任者研修の取得者で正社員(月給・常勤)の月平均給与は302,910円、月平均給与×12ヵ月で計算すると年収は約363.4万円となりました。
資格を持たない常勤介護職の月平均給与は270,530円で、年収は約325万円です。
月給・常勤介護職員の月平均給料 | 月給・常勤介護職員の平均年収 | |
資格なし | 270,530円 | 3,246,360円 |
介護職員初任者研修 | 302,910円 | 3,634,920円 |
参考: 厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(p.18)」
同統計の詳細(p.158~)を調べると、令和4年度9月時点におけるパート職員(日給・非常勤)とアルバイト(時給・非常勤)の介護職員の給料が掲載されていました。
初任者研修を取得した日給・非常勤の介護職の月平均給料は150,490円で、年収換算だと1,805,880円となり、無資格者の月平均給料は163,900円で、年収は1,966,800円でした。
日勤・非常勤介護職員の月平均給料 | 日勤・非常勤介護職員の平均年収 | |
資格なし | 163,900円 | 1,966,800円 |
介護職員初任者研修 | 150,490円 | 1,805,880円 |
参考: 厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.159)」
時給・非常勤の介護職員で初任者研修を取得している人の月平均給与は115,790円で、年収にすると
1,389,480円、無資格者の月給は111,960円、年収1,343,520円です。
時給・非常勤介護職員の月平均給料 | 時給・非常勤介護職員の平均年収 | |
資格なし | 111,960円 | 1,343,520円 |
介護職員初任者研修 | 115,790円 | 1,389,480円 |
参考: 厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.161)」
紹介している金額は、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している介護事業所のもので、諸手当や賞与を含めて月平均給料を算出しています。
手取りは額面の約75〜80%
給料の額面金額から税金や社会保険料を差し引いた手取り額は、通常額面の約75〜80%とされています。
初任者研修の資格を持っている月給・常勤の介護職の手取り額を計算すると、約23.6万円~約24.2万円で、無資格者は、約20.2万円〜約21.6万円になりました。
日勤・常勤の介護職で初任者研修の取得者の手取り額は約11.3万円~約12万円、無資格者の手取り額は約12.3万円~約13.1万円、時給・非常勤の介護職で初任者研修を持っている人の手取り額は約8.7万円~約9.3万円、無資格者の手取り額は約8.4万円~約9万円です。
無資格者との給与の差
初任者研修の取得者と無資格者の給与の差(月給・常勤)は、毎月32,380円で、この差額は1年間で388,560円、つまり約40万円の差となります。
一方、日給・非常勤の介護職員については、無資格者の方が毎月13,500円、年間で162,000円高くなっています。しかし、時給・非常勤の介護職員では初任者研修を取得している方が給与が高く、その差は月で約4,000円、年間で48,000円程度です。
この給与の差は、資格手当によるものではなく、賞与や一時金、その他の手当も含めた差です。したがって、厚生労働省の統計だけでは資格手当の具体的な金額は分かりません。
カイゴトークのアンケートによると、初任者研修の資格を持っている介護職の約半数が資格手当を受け取っていないと回答しています。
資格手当をもらっている人は全体の23.4%で、支給額は「3,000円未満」が9.9%と最も多く、次いで「3,000円以上5,000円未満」が7.6%、「5,000円以上1万円未満」が4.1%、「1万円以上」と答えたのは1.8%でした。
初任者研修の取得で資格手当がもらえない介護施設が多いのですが、もらえる場合は5,000円未満となるケースが一般的なようです。
初任者研修を取得するその他のメリット
初任者研修は、介護の基本的な知識や技術を学ぶことができる資格で、130時間のカリキュラムを受講し、修了試験に合格する必要があります。入職する前に初任者研修を取得するメリットをまとめました。
応募できる求人が増える
初任者研修を取得することで、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、デイケアサービス、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)、訪問介護員(ホームヘルパー)等、応募できる求人が増え、就職や転職の際に非常に有利になります。
介護施設や在宅介護サービス提供事業者は、初任者研修を取得している経験者を優先的に採用する傾向があります。
もちろん、介護業界は慢性的な人手不足で、介護未経験の転職者も積極的に受け入れていますが、できる仕事は限定されてしまいます。
初任者研修の取得者は、基礎的な介護技術や知識を身に付けていて、即戦力になりやすいと判断されています。
初任者研修の資格を持っていると、無資格の応募者との差別化を図ることができ、より多くの求人に応募するチャンスが広がることでしょう。
就職活動の際に意欲があることをアピールできる
就職活動の際に初任者研修を取得していると、介護職に対する強い意欲や熱意を示す証拠となります。この資格を取得するためには、一定の時間と努力が必要であり、そのこと自体が介護施設や事業所の面接官に対して強いアピールポイントとなります。
就職活動の際には、資格取得の過程で学んだこと、意欲的に介護技術を向上させたいという姿勢をアピールすることで、好印象を与えることができます。
初任者研修の受講資格は特になく、働きながら資格取得を目指す人や就職活動中に取得する人も多いです。
受講費用は研修実施団体や地域によって異なりますが、3∼15万円程度とされています。派遣会社の中には、取得後派遣として働くことを前提に、無料もしくは割安で初任者研修を取得できるところもあります。
ハローワークの職業訓練として初任者研修の講座を開いている地域も存在します。その場合、給付金をもらいながら、無料で資格を取得することができます。
ただし、受講するには高倍率の選考試験をクリアする必要があり、修了までに3ヵ月ぐらいかかるため、1か月ぐらいで効率よく取得して転職したい人にはおすすめできません。
介護職員としてのキャリアアップにつながる
初任者研修を取得すると、身体介助などもできるようになり、介護職としてのキャリアアップの道が開けます。
2024年4月から医療・福祉関連の資格を持たない新人介護士には、認知症介護基礎研修の受講が義務付けられましたが、初任者研修を取得していると、認知症介護基礎研修を受講する必要はなく、研修を受けなくても利用者にサービスを提供できます。
さらに、長期的な視点で見ると、初任者研修の資格は介護業界で成功するための第一歩です。
介護職として働きながら経験を積み、資格を取得をしながら介護の知識とスキルを身に付けるルートとして、初任者研修 →介護福祉士実務者研修 → 介護福祉士があります。
会社に入る前に、初任者研修を取得していると、国家資格である介護福祉士に合格するまでに必要な時間を短縮でき、入社後早くても3年~4年目ぐらいで挑戦することが可能になります。
初任者研修を取得後、更に給与を上げるには?
初任者研修を取得後、さらに給与を上げる方法として、上位資格の取得、現場でのスキル磨き、夜勤の回数を増やす、転職するといった方法が考えられます。一つひとつ詳しく見ていきましょう。
更に上位の資格(介護福祉士など)を取得する
初任者研修を取得した後、上位の資格を取得することで給与アップの鍵となります。
例えば、介護福祉士やケアマネジャーの資格を取得することと、給与が大幅に上がるだけでなく、職場での役割もより高度な知識や技術を求められる役職に就くことができ、長期的なキャリアアップが期待できます。
上位資格の取得は、自己成長につながり、職場での評価も高まるため、ぜひ挑戦してみてください。
初任者研修を経て、介護福祉士実務者研修と進み、介護福祉士の資格を取得した後は、介護の専門家になる道、管理者や施設長になる道、ケアプランにかかわるケアマネジャー(介護支援専門員)になる道などに分かれます。
介護福祉士は、介護系資格の中で唯一の国家資格です。この資格を取得すると、職場のリーダーとして新人教育を任されるようになり、仕事の幅が広がり、給与も確実にアップします。
無資格者と比べると、月3〜5万円ぐらい上がるため、1つの目標とするのがおすすめです。
ケアマネジャーはケアプランを作成し、要介護者と介護施設をつなぐ調整役です。介護支援専門員実務研修受講試験は、介護福祉士の資格を持っていないと受験資格が得られず、さらに5年以上の実務経験が必要となります。
初任者研修より上位資格を取得した介護職の令和4年度の月給と年収は以下の通りです。
令和4年度の月平均給与 | 令和4年度の平均年収 | |
資格なし | 270,530円 | 3,246,360円 |
介護福祉士実務者研修 | 302,500円 | 3,630,000円 |
介護福祉士 | 331,690円 | 3,980,280円 |
ケアマネジャー | 376,240円 | 4,514,880円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査の概要(p.18)」
現場でのスキルを磨く
現場での介護スキルを磨くことも、給与アップにつながる重要なポイントです。具体的には、高い介護技術や迅速かつ適切な判断力を持つことで、昇給や手当の増額が期待できます。
現場での経験を積み重ねることでスキルアップを図り、日々の業務に活かせます。さらに、スキルを磨くことで、他の介護士や利用者からの信頼を得ることができ、職場での評価が向上します。
夜勤に入る、夜勤の回数を増やす
夜勤手当は通常の勤務よりも高額に設定されているため、夜勤に入る回数を増やすことで、毎月の手取り額を増やすことができます。
夜勤は身体的に負担が大きいものの、その分手当も充実しており、給与を効果的にアップさせる方法の一つです。夜勤のシフトに積極的に入ることで、短期間での収入増加を実現することが可能です。
転職をする
他の介護施設や事業所に転職することも、給与アップの一つの手段です。現在の職場よりも条件の良い雇用先を見つけることで、より良い待遇を得ることができます。転職を考える際には、自身のスキルや経験を活かせる職場を慎重に選ぶことが重要です。
特に、初任者研修を取得していることを活かし、より高いポジションや給与を提供している介護施設や事業所への転職を検討することが有効です。
まとめ
介護職員初任者研修を取得することで、給与や手取りが増えるだけでなく、就職・転職に有利になり、キャリアアップの道が広がります。
無資格のままだと、仕事も限定され、自己成長につながりません。資格取得は自身のキャリアを向上させるための第一歩であり、将来の収入増加にもつながる重要なステップです。
2024年の最新情報を踏まえ、今後の介護業界での活躍を目指して、初任者研修の受講を検討してみてはいかがでしょうか?
この記事の著者
派遣のキャリアマルシェ_編集部
介護業界への転職・派遣に関する記事を制作・配信している編集部です。20年以上の介護施設運営歴のある弊社より、介護事業所で働く皆さんに役立つ情報を発信しています。
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