介護
投稿日:2023/12/11
更新日:2024/10/14
【効率化を図る!】介護業務にICTを活用したケアの取組み

目次

介護業界でのICT化は、他業界と比べるとあまり進んでいるとは言えず、未だに、FAXや紙ベースでの記録が活躍しています。
介護現場の人材不足に対する救世主となりうるICTアプリなどの導入に、スポットをあてていきます。

介護におけるICT化と進まない理由

ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、日本語では「情報通信技術」という意味です。ICTの意味には、従来のIT(情報技術)に「Communicatiion(コミュニケーション)」が加わり、ネットワークを活用して情報共有する点が特徴です。
介護でICT化が進まない要因
他業界と比べて、なぜ介護業界のICT化が進まないのか。要因は、大きく2つあります。
イニシャルコスト(初期費用)が高い
ICT化を進める上で、施設内のネット環境整備はもちろんのこと、端末機器の購入・アプリなどのシステム導入が必要なことが多く、初期費用が高くなりがちです。
ランニングコスト(月額利用料、ライセンス料、保守代など)がどれくらいかかるかも確認することで、導入への判断がしやすくなります。
職員のスキル・知識不足
どんなに優れたアプリを導入しても職員が使えないと意味がありません。実際、職員のスキルや抵抗感が障壁となるケースが多いです。
その背景には、慢性的な人手不足の介護現場では、現状維持がやっとで余裕がないこと、介護職員の高齢化も拍車をかけています。
介護労働安定センターの介護労働実態調査によれば、最新の令和4年(2022年)度の調査結果で、介護労働者の平均年齢は50.0歳でした。
内訳として、職種別での平均年齢は、訪問介護員54.7歳、介護職員47.3歳、サービス提供責任者50.0歳、生活相談員46.2歳、看護職員52.2歳、介護支援専門員53.0 歳となっています。

(引用元:公益財団法人 介護労働安定センターhttps://www.kaigo-center.or.jp/report/2023r01_chousa_01.html )
以上の点から、決して安くはない初期投資をうまく現場で活用できず、費用対効果が見合わないことが懸念材料となり躊躇してしまうのです。
介護業界のこれから

とは言っても、昨今の介護人材不足を解消するため、業務の効率化を図る取組みは介護業界でも着実に進んでいます。
その1つが、「タブレット」「スマホ」「インカム」などのICT機器を導入したケアの取組みです。
タブレット端末などを利用し、クラウドに記録を集約することで、従来、手書きでの介護記録などに関する書類作成の負担軽減につながります。
端末に入力した時点で情報共有が可能になるので、申し送りをしなくても職員間での情報共有が行なわれるため、利用者への対応もスムーズになります。随時情報を共有することで集合体でのミーティングを減らし、引き継ぎの効率化も図れます。

深刻化する人材不足、加速するICT化

介護に関わる職員は、2023年度には約233万人、2025年には約243万人、2040年度には約280万人が必要です。
(参考元:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000207323_00005.html )
この深刻な人手不足により、介護の現場では、少ない職員で膨大な業務を担う必要が生じ、残業が増え、十分に休みを取ることが難しい状況です。
そうした背景から、見守りセンサー等を導入すれば、介護施設の夜間の人員配置基準の緩和が可能になるなど、厚生労働省でも介護現場におけるICT化を進めています。
人材不足を解消するため、現場では外国人雇用の受け入れや特定処遇改善などを行ってきましたが、それでも圧倒的に人手が足りていません。
このような現状を把握している国の対策として、ICTツールのアプリなどの導入ができるよう毎年多額の補助金や助成金の交付をすすめてます。
一方で、コロナ禍でICT化が加速したツールがあります。それは、会議用オンラインミーティングツールです。
介護労働安定センターの令和2年度介護労働実態調査(特別調査)によれば、コロナ禍への対応策として新たに導入した情報通信技術(ICT)では、回答事業所全体でみても25.5%をマークしました。
次点で、家族用オンラインミーティングツールと端末での利用者情報の共有が、それぞれ12.3%を考慮しても、介護事業所で積極的に活用された実態が読み取れる結果となりました。
(参考元:公益財団法人 介護労働安定センター https://www.kaigo-center.or.jp/report/2021r01_t_chousa_result_01.html )
今、介護業界の価値は激変しています。これまでの当たり前が当たり前ではなくなりました。今までこうしてきたという固定概念に縛られることなく、新たな取組みに柔軟に対応できる思考が求められます。
質の高いケアを実現し、選ばれる施設になるためには、攻めの経営が必要な時代に入りました。
アプリを活用した特養での取組み

ある特別養護老人ホームは、職員全員がスマホやタブレットなどの端末機器使用し、紙ベースでの記録を廃止しました。
職員が使用するスマホには、インカムや見守り機器のアプリ、Googleサービスを取り入れ、スマホ1つで全てが簡潔できるようにするためです。
これにより、介護記録や情報共有が瞬時にできるようになりました。
例えば、食事・入浴・排せつなどの基本項目に加え、処置やシーツ交換など定期的に行う作業記録の項目も記録可能です。他にはQRコードで読み取り、ヒヤリハットや気付き報告書、会議の報告書を手早く入力することができます。
こちらでの初期費用は、ネット環境整備費とスマホやタブレットなどの端末購入費のみだったため、低コストで新たな介護の挑戦が可能になりました。
現場主体で導入したことで、どうすればケアに活かすことができるかなど主体的に動き、職員のモチベーションアップにもつながりました。
また、在宅でも施設でも、職員同士の情報連携がとにかく大切です。やるべきことが増えるにつれて、円滑なコミュニケーションの重要性が高まります。簡単に素早く、正確に伝えるためにはICT化は必要不可欠なツールです。
ICT化のメリットとデメリット

ICT化でアプリ使用には大きなメリットもありますが、すすめていくうえでのデメリットもあるという点をおさえておきましょう。
大きなメリット
ICT化の最大のメリットは、何と言っても情報共有の容易化です。
例えば、インカムを活用することで、1対多数での情報共有が実現しました。これまでは、大きな声をだして職員を呼んだり、電話のあるところまで走ったり、わざわざ相手の近くまで移動をして話す場面がありました。
インカムを使うことで、素早く全員に伝えることができます。1人では気付きにくいことも職員全体で確認することで、ご利用者の変化にもいち早く気付くこともできるようになりました。
カメラ機能のあるインカムでは、写真も共有でき、その場に行かなくともタイムリーな状況が分かります。
知っておくべきデメリット
一方で、課題やデメリットも存在します。クラウドサービスを利用する場合、セキュリティ対策が不十分だとご利用者情報や社内情報が流出する可能性があります。
また、使いこなせない職員の反発も大いに予想されます。知識や技術が不足し、従来のアナログな業務になれた職員は、仕事のやり方が変わることに懸念を抱き、モチベーションや作業効率が低下するからです。
実際にICTツールを導入して失敗した事例
ある介護施設では、看護業務の負担を減らしたいとの思いで導入したICTツールでしたが、当の看護職員がアプリを使いこなせず、かかりつけ医の先生もペーパーでのやり取りを望んだため、結局電子化することができませんでした。
コストの見積りが甘かった事例
アプリなどソフトの月額費用が安く、即決して導入したものの、それに付随する記録のための端末は別契約しなければならず、結果としてコスト高になったケースです。
失敗しないICT導入はお試しから
対応策としては、職員自身が、実際にアプリを操作することで「簡単・便利」なツールと実感してもらうことが大切です。大きな改革を行うための最初の一歩としてスモールスタートがおすすめです。
事業者を選ぶ上で、ホームページや口コミも見て、信用できる会社かどうかを見極めることが大切です。
ICTは、一気に導入するのではなく、デモ機もしくは数台から始めることです。ICT化に賛成な職員で改革チームを作り始めるなどしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ICT化でアプリを活用したケアの取組みで大切なことが2つあります。
1つ目は、誰もが使えるような仕組みを作ることです。アナログな業務に慣れた職員も「これなら使える」と思えるよう工夫が必要です。高いコストを掛けて導入したものの、現場で全く活用されないということがあります。
まずは、低コストで現場を巻き込み、最初の一歩を踏み出しましょう。
2つ目は、アプリなどのICTツールもただの道具にすぎません。ICT化で業務負担を軽減させ、ご利用者と向き合う時間を増やすことが大切ですが、何より使う側の心あるケアが大前提なのです。
介護現場の人対人の温かみのあるケアの充実、安全安心で皆が笑顔で過ごせる場にするためにICT化でアプリの活用が必要です。
手書きの記録などの事務作業がなくなることで時間に追われる毎日の業務から解放され、職員が利用者と向き合える時間が生まれます。職員が明るく楽しい施設は、ご利用者へのケアが充実していきます。
利用者からも職員からも選ばれる介護事業の実現こそ、介護のICT化によって目指すべき方向です。
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