介護
投稿日:2024/05/29
更新日:2024/10/14
介護支援専門員(ケアマネージャー)は国家資格? 資格取得や仕事内容について解説
目次
「介護業界キャリアアップや転職を考えている」
「ケアマネージャーの資格を取りたいと思っている」
「介護業界について幅広く学びたい」
このように考えている方はいないでしょうか?ケアマネージャーの資格を取ることはさまざまなメリットがあり人気であり、キャリアアップや転職に活かしやすくなります。
この記事では、介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得する方法や仕事内容について概要を解説します。介護業界・介護施設で仕事を続けていきたい方は、ぜひご覧ください。
介護支援専門員(ケアマネージャー)は国家資格?
介護支援専門員は、国家資格ではなく各都道府県の公的資格です。介護分野では、国家資格は介護福祉士のみになります。介護支援専門員は、ケアプランを作成し利用者の生活をサポートする仕事です。そのため、利用者や利用者の家族と接する機会が多く、利用者のより具体的な悩みを聞き取れる仕事でもあります。
ただ、2003年に政府が閣議決定した答弁書には、介護支援専門員資格が「国家資格」であると記載されていたことが2022年1月5日の日本介護支援専門員協会の調べで発覚しました。そのため、今後国家資格化される可能性も少なくないです。
出典:一般社団法人 日本介護支援専門員協会「国家資格」及び「民間技能審査事業認定制度による資格」に関する質問主意書・答弁書について
介護支援専門員とは
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、要支援・要介護の方を対象に適切な介護サービスを受けられるようにケアプランを作成し、事業者と調整する仕事です。介護を必要としている人と介護サービスをつなげる窓口の役割を果たします。
例えば「自宅で介護を受けているがデイサービス、または訪問介護のどちらにしたらいいか分からない」という場合に、利用者やご家族と相談し必要なサービスを選定・調整します。
介護支援専門員の仕事内容
仕事内容は、主に6つあります。それぞれ詳しく解説していきます。
仕事内容 | |
ケアプランの作成・管理 | 介護支援専門員のメインの業務 ケアプランとは、介護サービスの方針や目標が書かれたもので、作成できるのは介護支援専門員のみ |
介護事業者との連携・調整 | 利用者が適切な介護サービスを受けられるように、介護事業所と連携・調整を図る |
医療機関との連携 | 利用者の入退院時に、情報共有を行い連携を図る |
介護保険の給付管理 | 介護保険の費用を管理 |
介護の相談への対応 | 利用者や家族からの介護に関する相談への対応 |
要介護認定の申請 | 介護サービスを利用する高齢者や家族の代わりに、要介護認定の申請を行うことがある |
介護支援専門員と他の介護職員の違い
介護支援専門員は「ケアプランの作成」を、介護職員は「介護業務そのもの」を行います。以下に、具体的な仕事内容の違いを解説します。
介護支援専門員は、ケアプランの作成や適切な介護サービスが行われているか確認する仕事です。また、要介護認定の申請など事務的な業務を担っています。ケアプランの作成は、他の介護職員にはできない業務であり、介護支援専門員特有の業務です。
一方、介護職員の主な業務は介護現場での生活サポートであり、介護福祉士が作成したケアプランを元に介護をします。具体的には、食事や入浴、排泄の介助など介護業務全般を行います。
介護支援専門員になるメリット
介護支援専門員は、他の介護職員とは異なると説明しました。では、介護支援専門員になるメリットは何があるのでしょうか。主に以下の4つが挙げられます。
● 給与が上がる(平均の月収・年収は?)
● 業務の幅が広がる
● 人員の高齢化に伴い若い世代の採用強化
● 将来性がある
それぞれ詳しく解説します
給与が上がる(平均の月収・年収は?)
介護支援専門員は、介護業界の中でも給与が高い職種です。前職の経験やスキルも影響しますが、平均月収は36万1,770円、平均年収は、434万1,240円になります(令和4年9月時点)
出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 P119」
また、関連して他の介護資格を保有する介護職と給料の違いを以下の表で一覧にしましたので、紹介します。
資格 | 平均給与 |
介護支援専門員 | 37万6,240円 |
介護福祉士 | 33万1,690円 |
社会福祉士 | 35万2,560円 |
実務者研修 | 30万2,500円 |
介護職員初任者研修 | 30万2,910円 |
保有資格なし | 27万0,530円 |
出典:厚生労働省「第136表 介護職員の平均給与額等(月給・常勤の者)、サービス種類別、保有資格別」
上記のように、国家資格である介護福祉士や社会福祉士より給与が高くなる可能性があります。また、保有資格がない場合と比べると約9万円の差が見られます。そのため、今の給与に満足しておらず、給与を上げたい方は介護支援専門員になるのも1つの選択肢です。
業務の幅が広がる
介護支援専門員の資格を取得することで、ケアプランの作成が行えるため介護技術だけでなく業務の幅が広がります。一般的に介護職員は、利用者の食事・排泄・入浴介助を中心に介護業務を行います。
ケアプランの作成や介護サービスの選定など、他の介護職員にはできない仕事内容であるため、それぞれの利用者様に合ったサポートができる点においてやりがいを感じやすく魅力的な働き方として、より多くの経験を積めるでしょう。
そのため、現在介護業界でのキャリアアップや転職を検討している方にもおすすめです。
人員の高齢化に伴い若い世代の採用強化
介護支援専門員の平均年齢は上がっており、若い世代の採用が求められています。介護支援専門員の取得には、無資格の場合で最短8年、介護福祉士を取得している場合は最短5年が必要です。取得には期間がかかりますが、若い世代があまりいない職種であるためかなりの需要があります。実際に、有効求人倍率は2022年時点で4.8倍と応募者が足りていない状況で、企業は人材確保に困っています。
将来性がある
介護支援専門員の仕事は将来性があります。現代では、さまざまな業種でAIの導入が進められており、それは医療・福祉業界でもみられます。しかし、介護支援員の業務がAIに置き換わることはほぼないでしょう。なぜなら、利用者に対してヒアリングし、ケアプランを立てるため、利用者の気持ちを理解して作成する必要があるからです。
介護支援専門員になるには?
介護支援専門員は、給与や将来性の面で大きなメリットがあると説明しました。では、介護支援員になるにはどうしたらよいのでしょうか?以下に、介護支援専門員になるための流れを紹介します。
● 受験資格を満たす
● 介護支援専門員実務研修受講試験を受ける
● 介護支援専門員実務研修を履修する
● 介護支援専門員は5年ごとに更新が必要
● 試験の合格率はどうなっている?
それぞれ詳しく解説します。
受験資格を満たす
介護支援専門員の試験を受験する資格は、以下の条件のうち1つを満たす必要があります。
1. 指定の国家資格に基づく業務に通算5年以上(かつ900日以上)従事
2. 施設などで相談援助業務に通算5年以上(かつ900日以上)従事
1の「国家資格」とは介護職の場合、介護福祉士・社会福祉士が含まれています。その他、理学療法士・看護師・管理栄養士・医師・薬剤師など介護職以外も対象です。
2の「相談援助業務」とは、生活相談員・支援相談員・相談支援専門員・主任相談支援員を指します。しかし、これらの職種で働くには実務経験や社会福祉士の資格が求められるため、難易度は低くはありません。そのため、1の国家資格を取得するのは難しいという方や未経験・無資格から目指す場合は、こちらのルートから進む方も多いです。
介護支援専門員実務研修受講試験を受ける
介護支援専門員になるには、介護支援専門員実務研修受講試験を受けて合格する必要があります。この試験は、年に1回10月頃に実施されます。また、申し込みは6月から7月ごろなので忘れないように申し込みましょう。
試験内容は、120分で60問を回答するマークシート形式の筆記試験です。合格率は令和5年度で、21.0%とかなり難易度が高い試験になります。その理由として「5つの選択肢から複数の正解を選ぶ形式」であるため、より正確な知識が必要となることが考えられます。
出典:厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」
介護支援専門員実務研修を履修する
試験に合格しただけでは介護支援専門員としては働けないため、介護支援専門員実務研修を履修します。研修は定員があるため、早めに申し込みましょう。申し込み方法は、各都道府県のホームページから調べられます。
介護支援専門員実務研修は約3週間弱であり、内容は以下の通りです。
期間 | 内容 | |
前期研修 | 約8日間 | ケアマネジメント業務のプロセス、法令、医療連携の知識 |
実習 | 約3日間 | アセスメント、ニーズの情報収集、ケアプランの作成、チームマネジメント演習 |
後期研修 | 約7日間 | ケアマネジメント業務のプロセス、法令、医療連携の知識 |
修了評価 | 約1日間 | 研修内容が身についているかチェック |
※期間は都道府県により異なる場合があります。
介護支援専門員は5年ごとに更新が必要
介護支援専門員の資格を取得後、5年ごとに更新が必要です。ただし、更新研修の内容は介護支援専門員としての実務経験の有無により異なり、以下の3パターンあります。
● 実務経験があるケアマネが初回更新までに受講する研修
● 実務経験がないケアマネージャーが受ける研修
● 2回目以降の更新で受講する研修
それぞれのパターンで研修内容が異なるため、各都道府県の情報を調べてみましょう。
試験の合格率はどうなっている?
介護支援専門員の合格率は、令和5年度で21.0%とかなり難易度が高い試験になります。その理由として、介護支援専門員の試験は「5つの選択肢から複数の正解を選ぶ形式」であるため、回答が難しい点が挙げられます。国家資格である介護福祉士は、約60から70%の合格率であり、比べてみても難易度が高いと分かります。
出典:厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」
今後、試験を受けたいという方はテキストをベースに過去問に取り組んでいくことが良いでしょう。
ケアマネジャー試験対策の講座に参加したり、無料で過去問を体験できるサイト(過去問.com)もありますので、何度も繰り返すことで出やすいところや間違えるポイントを克服して、合格に向けて自分で対策することも可能です。
ケアマネージャーの将来性はどう?
日本の高齢化が進んでいるのと、AIに置き換わる可能性が低いという点でケアマネージャーの将来性はあると考えられます。要介護で支援を受けている方は年々増加しており、今後も高齢化に伴い利用者は増加すると言われています。そのため、ケアマネージャーの需要は高まっていくでしょう。
出典:厚生労働省「第220回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」
さらに、2024年度には介護報酬改定に関する審議が行われました。その中で、要点を3つ挙げます。
● 居宅ケアマネージャーが担当できる人数の増加
● 質の高いケアマネジメントに対する加算が広範囲化
● ケアマネージャーの業務負担の軽減
上記のように、ケアマネージャーの需要が高まる方向に改訂される見込みです。
居宅ケアマネージャーが担当できる人数は、1人当たり44件まででしたが1人当たり49件まで担当になる可能性があります。そうすると、事業所の収入が増えて待遇改善につながる可能性が高いです。
加算の広範囲化では、歯科受診の動向、ターミナルケアマネジメントが加算の対象に加わる見込みです。そのため、質の高いケアマネジメントが評価される制度がより整備され、ケアマネージャーの処遇改善につながります。
ケアマネージャーの業務負担の軽減では、利用者の同意や2ヵ月に1回の自宅訪問があれば、テレビ電話の利用が可能になる見込みです。そのため、業務効率が上がりケアマネージャーの業務負担が軽減します。
まとめ
介護支援専門員は、主にケアプランの作成や要介護申請を行う仕事です。介護業界の中でも給与が高く将来性もあります。一方で、資格取得までに長い期間が必要であり、また合格率も20%前後と低いことからなるのが難しい仕事です。その影響もあり人手不足が深刻で、従業員の高齢化が問題視されています。
資格を取得してしまえば、引く手あまたであるため将来には困らないでしょう。また、介護業界でのキャリアアップや転職を考えるのであれば、介護支援専門員の資格を取得し経験しておいて損はありません。介護業界で仕事していきたい方は、ぜひ介護支援専門員の取得を目指してみてください。
この記事の著者
派遣のキャリアマルシェ_編集部
介護業界への転職・派遣に関する記事を制作・配信している編集部です。20年以上の介護施設運営歴のある弊社より、介護事業所で働く皆さんに役立つ情報を発信しています。
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